
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
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この記事の結論
SNSなどで定期的に「ボトックスで抗体ができて効かなくなった」と話題になります。
しかし、いくつかの研究発表や論文から、「ボトックス治療で抗体ができても、再度ボトックス治療を行うと効果が出ることが多い」「そもそも抗体ができる確率も低く、中でも美容分野ではできにくい」ということがわかってきました。
その中で、患者さまに守っていただきたいことは3つあります。1.1度で多すぎる不必要な注入をなくす、2.少ない量でも治療間隔を守る、3.ジョギングなど強い運動を1-2週間ほど控える、この3点を守っていただけるとボトックス治療と長く親密な関係をきづけるはずです。
当院の考えとしましては、ご自身のお悩みのシワの部位、どれほど効果を出したいか、長期的にどのように治療したいかなどを知ることが治療の大切な一歩です。まず気になる部位の具体的なお悩みをお聞きした上で、カウンセリングや診察を通して患者様それぞれに適した治療法ををご提案させていただきます。ボトックス治療でお悩みのある方は、ぜひ当院でカウンセリング、診察だけでもお越しください。
「ボトックスの効果が短くなった、効かなくなった」「何回も打つと抗体ができて使えなくなる」と聞いたことはありませんか?
お薬ですので抗体ができてしまい、効果を感じなくなる方はいらっしゃいます。
しかし、実際に抗体のできる確率や、なりやすい部位などはあるのでしょうか?実は部位によっては数千人を対象にしても1度も出ない部位もありました。
また、抗体ができると効果は出なくなるのでしょうか?
ボトックスの明確な上限
実際にボトックス治療に注入量の上限はあるのでしょうか?
日本の厚生労働省の基準では、ボトックスの年間の総量に上限はありません。
しかし、日本では「1回投与量の上限」、「ボトックスの治療間隔」が明確に基準を設けています。これらは疾患や適応部位によってそれぞれ上限が決められています。
アメリカのFDAでは、ボトックスの年間投与の上限として、「1回最大400単位まで」、「12週以上空けて再投与」と明記しています。ですので、アメリカの基準では年間で最大1600単位までは可能です。
以上からボトックス治療では1回投与量、治療間隔が適正な使用に重要な役割を果たしてます。
保険診療でできるボトックス治療
「ボトックス治療≠美容医療」です。
保険診療でも多くの疾患にボトックス治療が行われています。
保険診療でのボトックス治療
例えば、脳卒中後などの四肢の痙縮、痙性斜頸、過活動膀胱などです。
一般的に保険診療では、美容領域と比較して「多くの量」を「短期間」で「定期的」に使用します。
たとえば痙縮の場合ですと上肢、下肢ともに治療する場合には最大300単位ずつ、計600単位を使用します。
美容領域での抗体発現率
様々な論文がありますが、結論から申し上げると美容領域での抗体出現率は保険診療の疾患と比較すると低いです。
ボトックスの効果がない=抗体ができている?
ある研究では、ボトックスが効かない患者さん503名を集めて抗体を調べると、224名だけが抗体を持っていました。すなわち効果がない患者さんの過半数は抗体と関係なく効果が出ていない(およそ9名のうち5名)、別の原因で効果が出ていないという研究もありました。「ボトックスが効かない=抗体産生ではない」と示唆されています。
美容治療では抗体ができやすい?
ある論文では、様々な疾患のある5876名にボトックスボトックス治療を行い、治療後にボトックス抗体の有無、抗体ある場合の効果などを評価しています。
疾患別の数や割合などは以下の通りです。
| 部位 | 施術件数 | 抗体陽性 | 研究終了後も抗体陽性 |
| 眉間 | 810 | 3 | 0 |
| 目尻 | 915 | 0 | 0 |
| 頸部ジストニア | 319 | 4 | 1 |
| 多汗症 | 973 | 4 | 2 |
| 片頭痛 | 501 | 0 | 0 |
| 脳卒中後の痙縮 | 406 | 2 | 2 |
| 神経原性膀胱過活動 | 589 | 8 | 7 |
| 過活動膀胱 | 956 | 3 | 1 |
| 小児の下肢痙縮 | 299 | 3 | 3 |
| 小児の神経原性膀胱過活動 | 108 | 0 | 0 |
| 合計 | 5876 | 27 | 16 |
美容領域では眉間と目尻のシワに対する治療を行、目尻は915例で0名(0%)、眉間は3名(0.37%)でした。
ボトックスの抗体発現率はもともとかなり低いですが、美容領域ではその中でもさらに低いです。
抗体ができるとボトックスは効果がなくなる?
さらに、眉間で抗体陽性になった3名に追加のボトックス治療を行いました。すると、3名とも効果が現れました。
| 疾患 | 抗体陽性後も無反応 | 反応 | データ得られず | 抗体に関係なく無反応 | 合計 |
| 眉間 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 |
| 頸部ジストニア | 3 | 1 | 0 | 0 | 4 |
| 多汗症 | 0 | 3 | 1 | 0 | 4 |
| 脳卒中後の痙縮 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 |
| 神経原性膀胱過活動 | 2 | 4 | 2 | 0 | 8 |
| 過活動膀胱 | 0 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| 小児の下肢痙縮 | 0 | 2 | 0 | 1 | 3 |
| 合計 | 5 | 15 | 3 | 4 | 27 |
抗体陽性となった27名のうち、その後も効果を失った人は5名で20%にも届きませんでした。過半数が抗体陽性でもボトックスの効果が継続しています。特に眉間は3名のうち3名ともボトックスの効果が持続しています。
ボトックス抗体ができて、ボトックス治療に反応しなくなった方は全体の0.085%で、1100名に1名も出ておりません。
日本で認可されているボトックスでの結果
日本で唯一認可を受けている製剤がアラガン社のボトックスビスタです。このアラガン社の研究によると、ボトックス治療をした2240名のうち11名(0.49%)が抗体陽性でした。抗体陽性であった11名に追加治療を行うと8名は効果を発揮しました。一方、3名のみは追加で治療しても効果がありませんでした。すなわち抗体陽性で効果がなかった割合は約0.13%と極めて低いことが示されています。
上記のようにボトックスの抗体出現率は一般的に0.50%未満とされています。
ボトックスの抗体と効果のまとめ
これらの研究などから
ボトックスが効かない患者さんを集めても、その過半数は抗体とは関係なかった。
ボトックスは美容領域では抗体の出現率は低い。
抗体が出現してもボトックスの効果がなくなる可能性は低い。
出典:Toxins(Basel). 2023 May 17;15(5):342. doi、Neurology. 2019 Jan 1; 92(1):e48-e54など
以上より、ボトックス治療で抗体産生する頻度はとても低いです。さらに「ボトックス抗体ができた≠ボトックスの効果がない」ということも示唆されました。
さらに、NAb陽性だった被験者の数が少なかったため統計的解析は行えなかったものの、個々の被験者を検討した結果、NAbの形成と、ベースライン時の併存疾患、既往歴、または併用薬との間に関連性は認められなかった
またボトックスを販売するアラガン社の研究発表では、ボトックス治療をした2240名のうち11名(0.49%)が抗体陽性となり、その11名のうち3名が追加で治療しても効果がありませんでした。すなわち約0.13%と極めて低いことが示されています。
つまり、実際にボトックスが効かなくなる確率は0.28%以下(約350人に1人未満の確率)と極めて低いことが示されています。
NAb形成が臨床的有効性に及ぼす影響を評価するため、7つの適応症においてNAbが形成された27名の被験者について、臨床的反応を評価した。臨床的有効性の評価時期に対するNAb形成のタイミング、および事前に定義されたレスポンダーの基準に基づき、これら27名の被験者は以下の4つのカテゴリーに分類できる:NAb形成後に反応を失った初期レスポンダー(すなわち、真の二次非レスポンダー); NAb形成後も反応が持続した初期反応者;NAb形成後の有効性評価データが得られなかった初期反応者;およびNAb形成前後のいずれにおいても非反応者であった群(表6)。真の二次非反応者は5例のみであった。
ボトックスの効果が出ない原因
1.技術的な問題
診察時に適応のある部位、必要な量を評価できていないということです。当院ではカウンセリングの時間をしっかりとっていますので、患者様の状態と希望に合った量を必要な部位へ注入します。
2.製剤の問題
ボトックスは生理食塩水で薬剤を溶かします。この際にしっかりと消毒していない、撹拌していない、長時間放置した薬剤を使用するなどボトックスの管理で効果が出ない、出すぎるなどの可能性があります。当院ではこれらを徹底して、効果に差が出ないようにしっかりと管理しています。
3.患者様の問題
ジョギング、激しいダンス、筋トレなど日常生活で激しい運動を習慣化している患者さまは運動習慣のない患者さまと比較すると、早ければ1か月後から効果に差が出てくるという結果も出ています。ですので、可能なら施術から1週間ほどは運動量を減らす、頻度を減らすことが効果の持続に影響を与えます。
また少量でもボトックス治療は3カ月以上を空けるなども非常に重要です。
出典:High Levels of Physical Activity Reduce the Esthetic Durability of Botulinum Toxin Type A: A Controlled Single-Blind Clinical Trial
まとめ~ボトックスとうまく付き合うコツ
ボトックスは正しい知識を持てば非常に素晴らしい治療法です。あなたが、ボトックスが効かなくなった理由は抗体ではない可能性が高いです。
患者さまにできる予防策としては、1不必要な量を入れない、2.治療期間を守る、3.激しい運動習慣、サウナ、ホットヨガなど代謝が上がる趣味をお持ちの方は頻度、運動量を減らすなどです。
当院では、どの層にそれだけのボトックスを入れればよいか、理想とする表情はどのようなものかなどをしっかりとカウンセリングで診察、評価して治療に進めています。













