写真に写ったご自身の顔を見て、「こんなにほうれい線が深かったかな」と気になったことはないでしょうか。
ほうれい線を消しゴムのように完全に消すことはできません。しかし、原因に合う治療を選べば、薄くして目立ちにくくすることは可能です。
同じほうれい線でも、老け見えする原因は人それぞれ。メイクがたまるような皮膚に刻まれたシワが老け見えの原因なのか、鼻横の凹みや骨格、頬のお肉が被さることによる影がほうれい線を深く見せているのか、表情筋の動きにより笑った後に目立つのか・・・一人一人のほうれい線を分析し、紐解き、対策方法を見極めることが重要です。
このようなお悩みの方へ
当院では、診察時にまず「なぜそのほうれい線ができているのか」を分析します。そのうえで、どのぐらい改善したいか、自然さをどこまで重視するか、いつまでに変化を出したいか、どの程度のダウンタイムなら許容できるかを伺い、治療を組み立てます。
本記事では、ほうれい線が深くなる原因と、当院で受けられる方が多いグロースファクター、ヒアルロン酸、糸リフト、ボトックス、HIFU・RFなどの役割と限界を、実際の症例を交えながら解説します。
同じほうれい線でも、原因は皮膚・脂肪・骨格・筋肉で異なります
ほうれい線(鼻唇溝)は、一つの原因だけでできるとは限りません。診察では、主に次の4つを確認します。
無表情でも残るほうれい線のシワ
加齢や光老化、生活習慣などで皮膚老化が進み、真皮のコラーゲンやエラスチンが減ると、皮膚にハリがなくなり、小ジワが増えます。たるみが生じたり、笑うたびに生じるシワが無表情時でも皮膚に刻まれやすくなります。ほうれい線の原因としては避けては通らない要素です。
頬のお肉が外側から被さる、影タイプのほうれい線の要因
頬の脂肪は、ボリュームが多いとほうれい線部位の凹みと相まって段差が強くなり、ほうれい線に影が差します。また脂肪が少なくても、皮膚にハリがなくなり、たるみが強調されます。骨から皮膚まで垂直に存在する繊維性組織である「支持靭帯」がゆるむと、たるみが目立ちやすくなります。
鼻横の凹みや影が深い
もともとの鼻翼基部や上顎骨の形によるほうれい線上の凹凸形成の他、加齢に伴い顔面骨が痩せることによって、ほうれい線の凹みが強調されます。
笑ったときにシワが強く出る
表情筋の強さや癖は、笑顔時のシワの入り方や左右差に関わります。また、表情筋が強いと笑った時のほうれい線が目立ちやすくなり、皮膚のハリがないと無表情時でも刻まれやすくなります。
また、ほうれい線には「シワ」と「影」の要素があります。
皮膚にシワが無表情時でも刻まれているのか、凹みや頬のお肉によってほうれい線上に影ができているのかで、適した治療は変わります。詳しくは骨格・脂肪・筋肉・皮膚の4タイプをご覧ください。
皮膚のハリが低下し、シワが残りやすくなる
皮膚の老化(真皮の変化)
皮膚の内側には「真皮」という層があります。真皮はコラーゲンやエラスチンなどで支えられ、肌のハリや弾力に関わっています。
加齢や紫外線などの影響で真皮層が菲薄化していくと、皮膚は形を保ちにくくなり、表情によってシワが出たあと、無表情に戻したときにシワが直りにくくなります。その状態が続くと、無表情時でも定着していきます。笑ったときだけに出ていたシワが、次第に無表情でも残るようになるのは、このような皮膚の変化が関係しています。
紙を繰り返し折ると跡が残るように、ほうれい線にも折れ癖がつきます。夕方になるとファンデーションがほうれい線へ入り込むのも、皮膚の真皮層までダメージが残っているサインの一つです。
夕方、ほうれい線にファンデーションがたまる理由 笑ったときにできるほうれい線の考え方頬の脂肪のボリュームと位置が変わる
頬の脂肪は一枚の塊ではなく、複数の脂肪区画に分かれています。加齢に伴って部位ごとに萎縮・肥大・位置の変化が起こると、ほうれい線の外側にある組織との段差が強くなります。
ほうれい線の上にある脂肪は「メーラーファット」、ほうれい線のすぐ外側にある脂肪は「ナゾラビアルファット」と呼ばれます。頬のお肉が多い方では、外側の組織が被さることで影が濃く見えることがあります。一方、痩せている方でも、中顔面のボリュームが減り、皮膚のハリが低下すると線が目立つことがあります。
つまり、「頬のお肉を減らせば全員よくなる」「痩せているから脂肪は関係ない」とは限りません。脂肪の量だけでなく、顔全体のバランスを見る必要があります。
骨格の形と、加齢に伴う頭蓋骨の痩せ(リモデリング)
鼻翼基部(鼻の付け根)や上顎骨がもともと後方に位置する方は、若い頃からほうれい線上部の凹みが目立つことがあります。また、頭蓋骨は加齢とともに部位ごとに形が変化し、痩せていきます。
骨が痩せると、骨格が支えている皮膚や脂肪の位置関係も変わり、鼻横の影やほうれい線の段差が強く見えることがあります。これは単に「皮膚がたるんだ」だけではありません。
支持靭帯(リガメント)も支えに関わる
顔には、皮膚・脂肪・筋膜などを、骨や深部の筋膜へつなぎ留める繊維組織である「支持靭帯」があります。加齢や生活習慣、光老化(日焼け)の影響で、靭帯のコラーゲンが減ると、靭帯に引きずられて、若かりし頃はピンと張っていた脂肪・筋膜・皮膚の各層に至るまで、重力の影響で、お顔の下方へ移動してしまいます。ほうれい線でいうと、ほうれい線の外側にお肉が被さってきて、溝が深く見えることがあります。
そして、その靭帯を支える骨が加齢や栄養不足により萎縮していくと、靭帯がゆるみ、上記のイベントが発生してしまいます。つまり、「皮膚」「脂肪」「骨格」「筋肉」といくつもの組織がお顔にありますが、すべて連続してつながっていて、全体を層ごとに診ることが大切です。
乾燥と紫外線は、皮膚のシワを目立たせる
乾燥すると細かなシワが目立ちやすくなり、ファンデーションも線へ入り込みやすくなります。また、紫外線は皮膚の光老化を進め、真皮のコラーゲンなどへ影響します。
ただし、保湿や日焼け止めだけで、骨格による凹みや脂肪の段差を持ち上げることはできません。セルフケアは皮膚を守るために大切ですが、構造的なほうれい線の治療とは役割が異なります。
表情筋の動きは、笑顔時の線や左右差に関わる
笑顔や会話の際には、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、頬骨筋など複数の表情筋が動きます。その使い方によって、笑ったときの線の入り方や左右差が変わります。
営業職で笑顔で会話する機会が多い方や、激しい筋トレを継続している方、無意識のうちに口元に力が入りやすい方は表情筋によるシワが出やすい傾向にあります。
ただし、よく笑うことや会話が多いこと自体を、ほうれい線の原因として避ける必要はありません。また、無表情でも残るシワには、筋肉だけではなく、皮膚・脂肪・骨格など複数の要因が関わっています。
原因が分かると、治療の役割も見えてきます
若い方でほうれい線が気になる場合は、骨格や脂肪の多さ、表情の影響、肌質が関与していることがあり、年齢を重ねると、皮膚・脂肪・骨格の変化によりほうれい線が目立ちやすくなることがあります。
ほうれい線の原因をさらに詳しく見る ほうれい線ができやすい方の特徴20選自分のほうれい線に合う治療は?5つの方法を原因別に比較
ほうれい線の治療には複数の方法があります。ここではいくつかの治療方法を紹介致します。
| 治療 | 主な役割 | 向いている見え方 | 変化の現れ方 | 主な限界・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 治療グロースファクター | 主な役割皮膚の土台を時間をかけて整える | 向いている見え方無表情でも残るシワ、皮膚のハリ低下、凹み | 変化の現れ方6か月かけて効果が出てくる | 主な限界・注意点即効性はない。専用の溶解薬がないため、注入設計が非常に重要 |
| 治療ヒアルロン酸 | 主な役割不足したボリュームを補い、凹みを直接膨らませて直す | 向いている見え方鼻横の凹み、骨格による段差、早くほうれい線を治したい方 | 変化の現れ方注入直後から効果を感じられる | 主な限界・注意点徐々に吸収される。アセスメントが甘いと見た目の違和感や、血流障害リスクがある |
| 治療糸リフト | 主な役割頬の組織を糸で持ち上げ、たるみを治す | 向いている見え方頬のお肉が被さり、たるみで影が強い方 | 変化の現れ方施術直後から効果を感じられる | 主な限界・注意点糸リフト単体だと短期間で効果がなくなったと感じることがある。鼻横の凹みは不得意 |
| 治療ボトックス | 主な役割表情筋の動きを部分的に弱める | 向いている見え方笑ったとき・話したときだけほうれい線が強く出る方、ガミースマイルの方 | 変化の現れ方1〜2週間かけて効果が現れる。 | 主な限界・注意点ほうれい線治療として使用する場合、笑顔や口元の表情に違和感が出る場合があるため、適応が限られる。持続期間は3〜6か月。 |
| 治療HIFU・RF(デバイス) | 主な役割熱エネルギーで皮膚・皮下組織の引き締め、タイトニング | 向いている見え方軽度のたるみ、輪郭のもたつき、たるみ予防目的 | 変化の現れ方機器ごとに異なり、一定期間(2〜3か月)をかけて変化する | 主な限界・注意点デバイス治療単体では、無表情時でも目立つほうれい線に対する効果は弱く、他の治療との併用が現実的になります。 |
当院は一人一人しっかり診察を行い、どんな時に気になるか、ほうれい線の中でもどのあたりが気になるのか、希望(予算、ダウンタイム、痛み、持続時間、見た目の自然さ)をお伺いし、それぞれに合った治療を提案致します。
グロースファクター・ヒアルロン酸・ボトックスの違いどの治療にどんな特徴があるのか、来院前に知りたい方へ
当院でほうれい線を診察するときは、ほうれい線も含めた全体的な肌質、皮膚の状態、頬のお肉、鼻横の凹み、骨格、表情の動きも併せて診て、お顔全体のバランスまで考えて、治療を受けても見た目が自然に仕上がるようにほうれい線治療を提案致します。
治療法① グロースファクター|無表情でも残る線・皮膚の土台を整えたい方へ
当院のグロースファクター治療は、薬剤を皮膚へ注入し、組織修復に関わる細胞の働きを介して、皮膚のコラーゲン・エラスチンを増やし、皮膚に厚みやハリをもたらして、ほうれい線上の見え方を自然かつ長期間改善させることを目指す治療です。
ヒアルロン酸のように、注入した製剤そのものの体積で凹みを持ち上げる治療とは役割が異なります。コラーゲンやエラスチンの産生を促すことを目的に、6か月かけて皮膚の土台を整えます。持続期間がヒアルロン酸や糸リフト、デバイス治療より長く、年単位で持続することが特徴です。
治療前と治療6か月後の比較
頬の厚みによる影と、ほうれい線上の皮膚の変化が重なっていた症例です。
治療前と治療3か月後の比較
無表情でもくっきり見える、深いほうれい線があった症例です。
注入直後にふっくら見える場合がありますが、その多くは注入液や腫れによる一時的な変化であり、効果ではありません。当院では通常6か月ほどかけて経過を見ます。1か月ほどで変化が見え始める方もいますが、現れ方には個人差があります。
長期経過を確認している症例
「どれぐらい持続するの?」と気になる方もいらっしゃるかと思います。年単位で経過を確認している例がいくつもあります。当院では開院してもう4年半になりますが、開院当初に受けられた方で未だに効果を実感されている方も少なくありません。ただし、治療後も自然な加齢は続き、持続期間や必要回数は患者様ごとに異なります。以下は一症例ごとの経過であり、同じ期間の効果を保証するものではありません。
治療前と治療3年4か月後の比較
治療前と治療1年10か月後の比較
治療前と治療2年後の比較
治療前と治療1年6か月後の比較
当院の治療実績と、安全性の考え方
当院では、2026年8月12日時点で、ほうれい線グロースファクター治療を全院累計3,000件超行っています。この集計で、感染、アレルギー、血腫、左右差を含む凹凸、過形成、膨らみすぎ、しこりは0件でした。
ただし、これは当院の同日時点までの診療記録であり、今後も副作用が絶対に起こらないことを保証するものではありません。グロースファクターはヒアルロン酸と異なり専用の溶解酵素がないことから、注入設計が非常に重要です。つまり、薬剤の配合、濃度、量、注入層、注入方法、追加時期を慎重に設計する必要があるため、当院では患者様ごとに設計を毎回変えています。「グロースファクター」という治療名でも、医院によって内容が大きく異なり、仕上がり・持続期間・安全性に差があります。当院では効果を最大化しつつ、リスクを最小化できるように、治療プロトコールを徹底的に設計しており、毎日のようにグロースファクター治療を行っております。
治療法② ヒアルロン酸|鼻横の凹みや段差を早く持ち上げたい方へ
ヒアルロン酸は、不足したボリュームを補い、凹みや段差を直接持ち上げる治療です。鼻翼基部(鼻の付け根)の凹みや骨格による影が強い方、治療直後から効果を実感したい方に向きます。
お手軽に受けられる治療ですが、一方で注入設計がとても重要で、設計が甘いと効果が出なかったり、不自然になったりします。例えば、頬のたるみが強い方へ、ほうれい線がなくなるまでヒアルロン酸だけを入れ続けると、口元が重く見えたり、不自然に膨らんだりする可能性があります。ほうれい線のシワの部分ではなく、ほうれい線の外側に注入されると、効果が出ないばかりか、逆にほうれい線が目立ちます。当院でも、他院でヒアルロン酸を受けられて思ったような仕上がりではなかったとご相談いただくことは少なくありません。注入する場所、深さ、必要量を見極め、顔全体のバランスを崩さないことが大切です。
ヒアルロン酸注入前と施術直後の比較
皮膚に刻まれたシワは目立ちにくく、骨格と頬の脂肪による鼻横の影を気にされていた症例です。
施術後、すぐに連絡が必要な症状
通常の注射後とは異なる強い痛み、または時間とともに増す痛み、皮膚が白い・紫色・網目状になるなどの色調変化、水疱、視覚異常、しびれや麻痺などの神経症状がある場合は、直ちに施術を受けた医療機関へ連絡してください。痛みがないことだけで重い合併症を否定することはできません。
当院では2026年8月12日時点まで、ヒアルロン酸注入に伴う血管閉塞は0件です。ただし、過去に0件であることは、将来も起こらない保証ではありませんが、当院では重篤なリスクを前提に、解剖と血管走行を頭に入れることはもちろん、常に安全性を優先した丁寧な注入を心がけています。
ほうれい線ヒアルロン酸の症例一覧 ほうれい線ヒアルロン酸の詳しい解説治療法③ 糸リフト|頬のたるみが線を深く見せている方へ
糸リフトは、コグ(棘)の付いた糸を皮下へ挿入し、たるんだお肉を、たるみが生じる前の場所に戻そうとする治療です。ほうれい線に頬の脂肪が被さり、たるみによる影が強い方では、被さったお肉を持ち上げることでほうれい線が改善することがあります。
ただし、フェイスラインは比較的変化を出しやすい一方、ほうれい線は引き上げる方向や骨格の影響を受けやすく、糸リフトだけでは十分に薄くならない場合があります。当院では糸リフト単体でほうれい線を治す例は少なく、ヒアルロン酸やグロースファクターなどと組み合わせることで真価を発揮する治療です。
私が糸リフトで安全性を強く意識している理由
私は、美容外科で糸リフトを受けられた方で顔面神経の麻痺やしびれが残った例を身近に見た経験があります。私自身の患者様で同様の経過は経験していませんが、合併症が起こらないよう適切な挿入層・方向・本数を見極めて治療にあたっています。
糸リフト治療前と施術直後の比較
頬とフェイスラインのたるみに加え、ほうれい線が目立っていた症例です。
治療法④ ボトックス|笑ったとき・話したときに線が強く出る一部の方へ
ほうれい線そのものは「溝」ですが、表情時に特定の筋肉の動きが強い一部の方では、ボトックスを補助的に検討することがあります。
ボトックスは、上唇鼻翼挙筋や上唇挙筋など、ほうれい線の見え方に関わる筋肉の動きを部分的に弱めます。ただし、無表情でも残る凹みを埋める治療ではありません。笑った時にほうれい線が目立つ場合にはいいですが、笑いにくくなったり、不自然な表情になったりするリスクがあり、無表情時でも気になるほうれい線には効果が乏しいため、当院ではグロースファクターやヒアルロン酸の補助として用いることが多いです。
治療法⑤ デバイス治療|軽度のたるみや引き締めを希望する方へ
HIFU・RF・マイクロニードルRFが該当します。
HIFUは超音波、サーマクールやDENSITYはRF(高周波)、ポテンツァは針を介してRFを届けるマイクロニードルRFです。機器によってエネルギーの種類、届く深さ、目的が異なります。
これらの機器は、皮膚や皮下組織へ熱エネルギーを与え、組織の引き締めやコラーゲンの増生を促すことを目的とします。頬の軽度のたるみやフェイスラインのもたつきには向くことがあります。
当院でも取り扱っているメニューですが、率直に申し上げますと、無表情時でも目立つほうれい線を目に見えて改善させられるほどの効果はありません。軽度のたるみ改善や、シワ・たるみ予防目的として捉えられるのが良いでしょう。ほうれい線の改善目的であれば、やはりグロースファクターやヒアルロン酸などと組み合わせての施術となります。
HIFU治療前と治療4か月後の比較
皮膚のたるみと頬のもたつきが主なお悩みだった症例です。
当院では2026年8月13日時点まで、HIFU・RF治療に伴う熱傷、感覚変化、神経損傷などの重篤なリスクは0件です。ただし、将来も起こらないことを保証するものではありません。
HIFUの効果・限界・副作用 ポテンツァの仕組みと適応セルフケアだけでほうれい線を消すのは難しい|予防としてできること
セルフケアの役割は、皮膚を守り、悪化しにくい状態を保つことです
乾燥や炎症を抑え、細かなシワを一時的に目立ちにくくする。紫外線による光老化から皮膚を守る。
加齢や生活習慣、光老化などによって構造的に進行したほうれい線を「消す」
補助① 保湿・UV対策|皮膚の土台を守る
日焼けや乾燥は、ほうれい線上の細かなシワを目立たせる要因になります。保湿剤で皮膚のバリア機能を支え、外出時には日焼け止めを使うことをおすすめします。
食事、睡眠、喫煙、過度な飲酒、ストレスなども皮膚の状態へ影響します。生活習慣を整えることは、医療による治療の代わりではありませんが、治療後の皮膚を健やかに保つうえでも大切です。
身体に良いことは、皮膚にも良い。私はこの考え方を、無理なく続けられるホームケアの基本としています。
紫外線による光老化と、日焼け止めの基本 飲む日焼け止めと塗る日焼け止めの違い 皮膚を健康に保つ生活習慣治療の代わりではなく、治療を支えるホームケアとして
乾燥や炎症を抑え、肌状態を整える目的で、当院では次のスキンケアもご案内しています。
補助② 表情筋トレーニング|当院では治療として積極的にすすめません
顔のトレーニングで、すでにあるほうれい線が改善するかを示す十分なデータはありません。また、強く皮膚をこする、同じ部分を繰り返し折り込むなどの動作は、皮膚への刺激になる可能性があります。
そのため当院では、表情筋トレーニングやマッサージを、すでに目立つほうれい線の治療として積極的にはおすすめしていません。ご自宅で行う対策は、まず保湿とUV対策を優先してください。
顔の筋トレとシワについて詳しく見る補助③ 骨の健康と日光|ほうれい線を直接治す方法ではありません
ビタミンD、カルシウム、ビタミンKなどは、全身の骨の健康に関わります。食事では、魚、卵、乳製品、大豆製品、納豆などを、全体の栄養バランスの中で取り入れることが大切です。
年齢とともに骨密度は低下し、頭蓋骨は痩せてシワやたるみの原因となります。
特に冬に進行しやすいとされている理由は、骨形成に必要なビタミンDの合成量が日照時間の減少とともに下がるためです。
適度な日光浴はビタミンD合成の補助になります。
一方、日光浴によって顔面骨の加齢変化を防いだり、すでにあるほうれい線を改善したりできるという根拠はありません。
また、必要な紫外線照射時間は、地域、季節、時刻、露出面積、肌質によって大きく変わります。「夏は何分、冬は何分」と一律には決められませんが、一つの目安としては、夏は日陰で30分、冬は日向で1時間ほど浴びるのがよいとされています。
さらに、顔へ紫外線を当てることは光老化を進めるため、ほうれい線対策として顔を日焼けさせることはおすすめしません。先述した食事をご検討いただき、必要に応じてかかりつけ医にご相談ください。
当院が診察で確認しているポイント
同じ「ほうれい線が気になる」というお悩みでも、必要な治療は違います。当院では、次の点を確認したうえで治療をご提案します。
治療名を決めてから来院する必要はありません
診察の役割は、どの治療ができるかだけを見ることではなく、必要のない治療や、原因と合わない治療を避けることにもあります。まずお悩みとご希望を伺い、適した方法と限界を一緒に整理します。
よくあるご質問
Q. ほうれい線は本当に消せますか?
消しゴムで消すように完全になくすことはできません。ただし、皮膚のシワ、凹み、頬のたるみ、表情筋など、主な原因に合う治療を選ぶことで、薄くして目立ちにくくすることは可能です。
Q. ほうれい線に一番効果がある治療はどれですか?
全員に一番よい治療はありません。無表情でも残るシワや皮膚のハリ低下にはグロースファクター、鼻横の凹みや段差にはヒアルロン酸、頬のたるみには糸リフト、表情時の線にはボトックスを検討するなど、原因によって役割が変わります。
Q. セルフケアだけでほうれい線は治せますか?
深く刻まれたシワや、凹み・たるみ・骨格要因が強い場合、セルフケアだけで治すことは難しいです。保湿やUV対策は、乾燥や光老化から皮膚を守り、進行を抑える補助として考えてください。
Q. グロースファクターとヒアルロン酸は、どちらを選べばよいですか?
長期間改善効果を出したい場合はグロースファクター、すぐに効果を出したい場合はヒアルロン酸が候補になります。両者は役割が違うため、併用することもあります。
Q. 糸リフトやHIFUだけで、ほうれい線は消えますか?
頬のたるみが主な原因であればほうれい線が改善することがあります。ただし、糸リフト単体では効果が持続しにくいです。
Q. ほうれい線にボトックスが向くのはどのような方ですか?
無表情では目立ちにくく、笑ったときや話したときに特定の筋肉の動きでほうれい線が強く出る一部の方です。ただし、設計が重要で注入量によって笑顔や口元の動きが変わるため、適応を慎重に見極めます。
Q. 効果はいつから現れ、どのくらい続きますか?
治療によって異なります。ヒアルロン酸や糸リフトは施術直後から効果を実感しやすく、グロースファクターは6か月かけて効果が現れます。持続期間は治療内容、製剤・機器、部位、個人差などで変わります。
Q. ダウンタイムやリスクが少ない治療はどれですか?
当院では切ったり縫ったりする治療の取り扱いがございませんので、ダウンタイムやリスクは外科治療に比べると少ないですが、注射治療では腫れや内出血、糸リフトでは引きつれ、HIFU・RFでは赤みなど、治療ごとに異なるリスクがあります。
Q. 治療を決めず、相談だけでも大丈夫ですか?
はい。まずは医師・看護師がしっかりお悩みをヒアリングして、どの治療に適応があるのか、その治療のメリット・デメリットは何か、しっかりお話し致します。治療内容はもちろんお持ち帰りいただき、受けるか受けないか改めてご検討いただけます。初回カウンセリングは現在0円なので、お気軽にご相談ください。
参考文献・資料
以下は、主に顔面の加齢変化、脂肪・靭帯・骨格、紫外線による光老化を理解するための資料です。個別の治療効果を一律に保証するものではありません。
- Mendelson B, Wong CH. Changes in the Facial Skeleton With Aging: Implications and Clinical Applications in Facial Rejuvenation. Aesthetic Plastic Surgery. 2012;36(4):753–760.
- Swift A, Liew S, Weinkle S, Garcia JK, Silberberg MB. The Facial Aging Process From the “Inside Out.” Aesthetic Surgery Journal. 2021;41(10):1107–1119.
- Cotofana S, Fratila AAM, Schenck TL, et al. The Anatomy of the Aging Face: A Review. Facial Plastic Surgery. 2016;32(3):253–260.
- Gromkowska-Kępka KJ, Puścion-Jakubik A, Markiewicz-Żukowska R, Socha K. The impact of ultraviolet radiation on skin photoaging—review of in vitro studies. Journal of Cosmetic Dermatology. 2021;20(11):3427–3431.
- Walczak A, Krenz-Niedbała M, Łukasik S. Insight into age-related changes of the human facial skeleton based on medieval European osteological collection. Scientific Reports. 2023;13:20564.
- 国立環境研究所「ビタミンD生成・紅斑紫外線照射時間」(地域・季節・時刻・肌タイプ等で必要時間が変わることを示す資料。2026年8月14日参照)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)ジュビダームビスタ ボリフトXC 電子添文
- Seraj SS, et al. Efficacy of Conservative Techniques for Mechanical Facial Rejuvenation: A Systematic Review. Aesthetic Surgery Journal Open Forum. 2025;7:ojaf144.
- U.S. Food and Drug Administration. Focused Ultrasound Stimulator System for Aesthetic Use—Class II Special Controls Guidance.
- U.S. Food and Drug Administration. Potential Risks with Certain Uses of Radiofrequency (RF) Microneedling—FDA Safety Communication.
まとめ|治療名を決める前に、まず原因を見極めます
ほうれい線は、皮膚・脂肪・骨格・筋肉など、複数の要因が重なって目立ちます。治療方法にはそれぞれ得意なことと限界があり、流行している方法が、そのままご自身に合うとは限りません。
私たちは、まず現在のお悩みと、どこまで改善したいか、いつまでに変化を出したいかを伺います。そのうえで、無表情と笑顔、線と影、鼻横の凹み、頬のお肉、皮膚の状態を診察し、必要な治療のみをご提案します。
治療をして終わりではありません。治療後の経過を確認し、追加が必要か、ここで終了してよいかまで一緒に判断します。必要のない治療を無理におすすめすることはありません。
「結局、どの方法が自分に合うのだろう」と迷う方へ
まずは、治療名を決めずにご予約いただいて大丈夫です。診察でどの治療がおすすめなのか、効果の限界・ダウンタイム・リスク・コストまでしっかりご説明します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の適応、使用する薬剤・機器、必要量、回数、費用、効果、持続、リスクは診察により個別に判断します。掲載料金は2026年8月14日時点の通常料金です。













