「ほうれい線って、永久になくせないの?」
このようなご相談を受けることがあります。鏡を見るたびに口元が気になると、一度治療するなら、なるべく長く持つ方法を選びたいと思いますよね。
この記事では、美容医療の広告で見かける「半永久」をどう受け止めればよいのか、どの治療が長持ちしやすいのかを説明します。特に、当院で多く行っているグロースファクターについては、年単位の長期経過症例と、診察でどこを見て治療を選ぶかまでお伝えします。
美容皮膚科医の答え
ほうれい線が一生消えたままになる治療はありません。治療方法によって、効果の持続期間は大きく異なります。
顔は治療後も年齢とともに変化するため、「一度治療すれば永久に出ない」とは言えません。ただし、治療によって持続の長さは異なります。当院では、グロースファクター治療1回から3年4か月後までの経過を含む、年単位の症例を公開しています。
美容医療の「半永久」とは何年ですか?
「半永久」には、医学的に決められた年数がありません。その言葉だけでは、実際にどのくらい効果が続くのかは分かりません。
治療後も加齢は続き、効果の続き方には個人差があります。改善が長く続くことと、治療直後の状態が一生変わらないことは別です。
当院は「半永久」という言葉だけで効果を説明しません
当院では「半永久」とはご案内せず、治療前との差を何年後まで確認できているかと、追加治療の可能性をお伝えしています。
治療後も、ほうれい線が再び目立つのはなぜ?
治療後も顔の加齢が続くからです。ヒアルロン酸の場合は、注入した製剤が徐々に吸収されることも重なります。皮膚のコラーゲンは減り、頬のお肉や骨格も変わり、会話や笑顔による口元の動きも続きます。
皮膚のシワ、鼻横のくぼみ、頬のお肉による影など、今気になる部分を確認します。
治療後は、選んだ方法に応じてシワやくぼみ、たるみが改善していきます。効果が現れる時期は治療ごとに異なります。
治療前より改善していても、その後も皮膚の老化や頬の下垂は少しずつ進みます。
数年後に再び気になった時は、治療直後と比べるだけでなく、治療前の写真とも比べてください。治療直後より少し戻っていても、治療前より改善していれば、効果がすべてなくなったわけではありません。
診察で一番確認したいのは、患者さんがどこを変えたいのかです。鼻横のくぼみを早く整えたい方と、無表情でも残るシワを自然に改善したい方では、どちらも効果の持続を希望されていても、選ぶ治療は変わります。
ほうれい線で一番長持ちする治療はどれですか?
「どれが一番」と一つに決めることはできません。皮膚そのものに刻まれたシワ、鼻横のくぼみ、強いたるみでは、治す方法が違うからです。長く残る治療でも、気にしている部分に合っていなければ、ほうれい線の改善にはつながりません。
当院では、患者さんが治したい部分に対する改善を何年後まで確認できるか、という視点で持続を考えています。効果の現れ方や、追加・修正の方法も含めて比較すると、治療の違いが分かりやすくなります。
| 治療 | 改善したいお悩み | 効果の現れ方 | 持続の目安・考え方 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| グロースファクター | 改善したいお悩み無表情でも残るシワ、皮膚のハリ不足 | 効果の現れ方3〜6か月ほどかけて徐々に現れ、当院では通常6か月頃に評価します。 | 持続の目安・考え方当院では、治療から4年2か月後も効果が持続している症例を確認しています。 | 注意点即効性はなく、効果を実感するまでに時間がかかります。 |
| ヒアルロン酸 | 改善したいお悩み鼻横のくぼみ、ほうれい線の段差やボリューム不足 | 効果の現れ方注入直後から効果を実感できます。 | 持続の目安・考え方当院採用のヒアルロン酸製剤では1〜2年が目安です。その間、注入したヒアルロン酸がくぼみを内側から支えます。 | 注意点徐々に吸収されるため、グロースファクターに比べて持続期間は短めです。 |
| 脂肪注入 | 改善したいお悩み頬やほうれい線周囲のボリューム不足 | 効果の現れ方腫れが落ち着き、脂肪が定着するまで経過を見ます。 | 持続の目安・考え方定着した脂肪は長く残る可能性がありますが、定着率には個人差があります。 | 注意点複数回の治療が必要になることがあります。脂肪を採取するため、グロースファクターやヒアルロン酸に比べて身体への負担が大きくなります。 |
| 貴族手術 | 改善したいお悩み小鼻の付け根にある骨格的なくぼみ | 効果の現れ方術後の腫れが引くまで経過を見ながら判断します。 | 持続の目安・考え方挿入したプロテーゼは吸収されず、移植した軟骨も長く残る可能性がありますが、周囲の皮膚や頬の加齢は続きます。 | 注意点プロテーゼの位置ずれや違和感などで、抜去・再手術が必要になることがあります。 |
| 切開リフト | 改善したいお悩み頬から下顔面にかけての強いたるみ | 効果の現れ方術後の腫れや組織のなじみを見ながら評価します。 | 持続の目安・考え方引き上げた皮膚や筋膜の位置は長く保たれることがありますが、加齢そのものは止まりません。 | 注意点年月とともに再手術を検討することがあります。傷跡と長めのダウンタイムがあります。 |
当院でほうれい線そのものを治療する場合は、グロースファクターとヒアルロン酸が主な選択肢です。貴族手術と切開リフトは、長持ちする治療として比較されやすいため紹介しましたが、当院では行っていません。
ほうれい線治療の選び方を詳しく見る / 注射治療の違いを詳しく見る
グロースファクターはどのくらい持ちますか?|当院の考え方
注入直後ではなく、その後の皮膚の変化を見ています
一律に「何年」とは言えませんが、当院には、グロースファクター治療を1回受けた後も年単位で効果が続いている症例が多数あります。持続力が長いことは、グロースファクターの大きな特長です。無表情でもほうれい線に沿ってシワが刻まれており、自然な仕上がりと持続を重視する方には、グロースファクターを治療の軸にしています。
グロースファクターは、真皮の線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの産生を促すことで、皮膚の厚みやハリの改善を目指す治療です。注入直後のボリュームで鼻横のくぼみを持ち上げるヒアルロン酸とは、役割が異なります。
当院では、2026年8月時点で全院累計3,000件を超えるほうれい線グロースファクター治療を行っています。診察では、ほうれい線の深さ、皮膚の厚み、左右差を確認し、薬剤の濃度や配合、注入量、注入する層や位置を調整しています。
効果は通常3〜6か月ほどかけて徐々に現れます。当院では施術直後の腫れを効果とはみなさず、通常6か月頃に治療前の写真と比べて、追加治療が必要かを判断します。
皮膚に刻まれたシワと鼻横のくぼみが重なっている場合は、まず6か月頃までグロースファクターの経過を見て、残ったくぼみに必要な分だけヒアルロン酸を加えることがあります。鼻横のくぼみを早く整えたい場合は、初めからヒアルロン酸を選ぶこともあります。
効果が現れるまでの期間には個人差があります。
グロースファクターは数年後も効果がある?|当院の長期経過症例
50代女性|3年4か月後の写真と、4年2か月後の診察経過
この症例では、グロースファクター治療1回から3年4か月後も効果がみられています。この方はその後も来院され、4年2か月後の経過でも効果が保たれていました。
長期経過
50代女性・治療1回。治療前、3か月後、1年8か月後、3年4か月後の同じ方の経過を掲載しています。
当院では、治療直後の状態との比較ではなく、治療前よりもほうれい線が改善した状態が何年後まで続いているか、という視点で持続力を見ています。
施術はグロースファクター治療1回。料金はほうれい線両側 180,000円(税込・麻酔代を含む/2026年9月現在)です。主なリスクや治療条件は、症例ページでご確認いただけます。
20代男性|3年2か月後もほうれい線の改善効果が続いています
こちらは、グロースファクターでほうれい線を治療した20代男性の長期経過です。3か月後、1年6か月後に続き、3年2か月後にも経過を確認しています。
3年以上経過した時点でも、ほうれい線が薄くなった状態が保たれています。治療直後の写真だけでなく、数年後にも効果がみられている症例です。
60代女性|2年後も効果は続いていますが、顔の老化は進みます
こちらは、グロースファクターでほうれい線を治療した60代女性の、治療前と2年後の比較です。
治療したほうれい線には、2年後も改善効果がみられています。一方、治療していない口元には、加齢とともにシワが増えています。
グロースファクターの効果が長く続いていても、顔全体の老化が止まるわけではありません。私が「半永久」とはご説明しない理由の一つです。
ヒアルロン酸・脂肪注入・外科治療の持続はどう考える?
ヒアルロン酸|鼻横のくぼみを早く整えたい方へ
ヒアルロン酸は、鼻横のくぼみやほうれい線の段差を内側から持ち上げる治療です。注入直後から効果を実感できるため、「予定に合わせて早く治したい」「まず見た目を整えたい」という方には向いています。
必要な量は患者さんごとに異なります。少なすぎればくぼみが残り、入れすぎれば口元が重く不自然に見えることがあります。当院では、注入する場所・深さ・量を、顔全体のバランスを見ながら調整します。
脂肪注入|定着した脂肪が長く残る可能性があります
ご自身の太ももなどから脂肪を採り、ほうれい線や頬へ移植する治療です。定着した脂肪は長く残る可能性がありますが、注入した脂肪がすべて残るわけではなく、定着率を正確に予測するのは難しいです。
ほうれい線は会話や食事でよく動く部位でもあり、思ったほど定着しないことがあります。追加注入が必要になる場合や、皮膚そのものにできた浅いシワが残る場合もあります。
主な注意点:脂肪を採る部位と注入する部位の両方に腫れ・内出血が生じるほか、左右差、凹凸、しこり、感染などの可能性があります。
貴族手術|鼻翼基部の骨格的なくぼみを補います
小鼻の付け根、いわゆる鼻翼基部のくぼみが強い方では、シリコンプロテーゼや耳の軟骨などを入れる貴族手術が選択肢になることがあります。プロテーゼや移植した軟骨が長く残るため、骨格的なくぼみに対して長期的な変化を狙える治療です。
ただし、プロテーゼや軟骨が体内に残ることと、ほうれい線全体が一生消えることは別です。皮膚そのものにできたシワや、頬のお肉がつくる影は、鼻横をプロテーゼで膨らませるだけでは十分に変わらないことがあります。
主な注意点:腫れ、内出血、感染、プロテーゼの位置ずれ、異物感、左右差、抜去や再手術が必要になる可能性など。
切開リフト|強いたるみを長く引き上げたい方へ
切開リフトは、皮膚や筋膜を引き上げ、頬からフェイスラインにかけての強いたるみを治療する手術です。たるみの改善が長く続くことはありますが、手術後も年齢による皮膚・脂肪・骨格の変化は続きます。
また、ほうれい線は引き上げればすべて消えるわけではありません。鼻横のくぼみや皮膚そのものにできたシワが強い方では、切開リフト後もほうれい線が残ることがあります。
主な注意点:腫れ、内出血、傷跡、血腫、感染、左右差など。注入治療よりダウンタイムが長くなります。
「半永久」「長期間持続」の広告を見る時に確認したいこと
数字が書かれていない「半永久」だけでは、治療後の経過を想像できません。カウンセリングでは、次の4点を具体的に聞いてみてください。
治療後に何が、どのくらい続くという意味なのか
ほうれい線のシワ、鼻横のくぼみ、頬のたるみのうち、どの改善についての持続期間なのかを確認します。
何年後まで確認されているのか
一人の最長症例なのか、多くの方に案内している目安なのかも分けて聞きます。
効果が弱くなった時にどうするのか
追加治療の時期、溶かせるのか、取り出すには再手術が必要なのかを確認します。
総額と主なリスクはどのくらいか
麻酔代、診察代、薬代などを含む総額と、ダウンタイム・副作用を確認します。
「永久だから一番良い」とは限りません。
鼻横のくぼみをすぐに整えたい方に、効果が徐々に現れる治療だけを行っても、希望する変化とはずれることがあります。逆に、無表情でも残るシワが中心なのに、強い引き上げだけを行っても、そのシワは残ることがあります。持続の長さより先に、「自分が一番気にしている部分を治せるか」を確認してください。
厚生労働省の美容医療に関する注意喚起でも、施術前に効果・リスク・費用・解約条件などの説明を受けるよう案内されています。
ほうれい線の「永久・半永久」についてよくあるご質問
Qグロースファクターは永久・半永久に持ちますか?
いいえ。当院では、永久・半永久とはお伝えしていません。当院には、1回の治療後も年単位で効果が続いている症例が多数あり、今回ご紹介した50代女性の症例では、4年2か月後も効果が保たれていました。ただし、すべての方に同じ効果や期間を保証するものではありません。
Q持続性を重視する場合、どの治療を選べばよいですか?
皮膚に刻まれたシワが主な場合、当院ではまずグロースファクターを検討します。鼻横のくぼみを早く整えたい場合はヒアルロン酸、強いたるみが主な場合は外科治療が選択肢になります。
Qグロースファクターは何回必要ですか?
当院では、まず1回治療し、通常6か月頃まで経過を見てから追加治療が必要かを判断します。追加を前提に回数を重ねるのではなく、治療前の写真と比べ、改善の程度と患者さんのご希望を確認して決めます。
Qグロースファクターとヒアルロン酸は併用できますか?
併用することがあります。皮膚に刻まれたシワと鼻横のくぼみが重なっている場合は、グロースファクターの効果を確認した後、残ったくぼみに必要な分だけヒアルロン酸を加えることがあります。鼻横のくぼみを早く整えたい場合は、ヒアルロン酸を先に選ぶこともあります。
当院で確認した症例と、参考にした医学文献・公的情報
当院で実際に経過を確認した症例
医学文献・公的情報
まとめ|「半永久」という言葉より、実際の長期経過を
ほうれい線を一生消えたままにする治療はありません。「半永久」という言葉だけで判断せず、自分が治したいのは皮膚のシワ、鼻横のくぼみ、頬のたるみのどれか、実際の長期症例があるか、追加や修正はどうするかまで確認して選びましょう。
当院では、皮膚に刻まれたシワにはグロースファクター、鼻横のくぼみを早く整えたい場合はヒアルロン酸を検討します。両方が重なる場合は、経過を見ながら段階的に組み合わせます。
自分に合う治療と、持続の目安を知りたい方へ
診察では、無表情と笑顔を確認し、皮膚のシワ、鼻横のくぼみ、頬のお肉による影のうち、どこが一番気になっているのかを伺います。そのうえで、どこまで改善が期待できるのか、効果が現れる時期と持続の目安、追加治療、主なリスク、総額をご説明します。
治療を決めてからご予約いただく必要はありません。ご提案は一度持ち帰り、納得してから治療するかどうかを決めていただけます。
当院では、無理なアップセルや不要な治療のご提案は行っていません。安心して治療を受けていただけるよう、治療内容や注意点の説明に時間をかけています。









