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  • 糸リフト(スレッドリフト)

糸リフト後にハイフ・デンシティは受けられる?PDO・PCL・PLCLの熱耐性を医師が比較

著者:医療法人新月会 医師 齊藤秀明
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisenスキンクリニック / 東京Houreisenスキンクリニック / 名古屋Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会 医師 齊藤秀明 ドクター紹介はこちら

最終更新:2026年7月

ハイフ・RF等で糸リフトの糸は溶けたりしないの?PDO・PCL・PLCLの耐熱性を医師が解説

こんにちは。大阪Houreisenスキンクリニック院長の齊藤です。

「糸リフトを受けると、その後はハイフやデンシティを受けられなくなる?」

「PDO・PCL・PLCLは、熱への強さが違うの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

糸リフトに使われる吸収糸は、素材によって熱的な性質、柔軟性、体内に残る期間が異なります。特にPCL(ポリカプロラクトン)は融点が比較的低いため、HIFU(ハイフ)やRF(高周波)など、皮膚の内側へ熱を加える治療との組み合わせを心配されることがあります。

一方で、素材の融点だけを見て「この糸なら熱治療はできない」「この糸なら絶対に影響を受けない」と判断することはできません。実際には、糸の素材・挿入された深さ・熱治療の施術時期をまとめて考える必要があります。

先に知っておきたい3つのポイント

POINT 1
PCLは比較的熱に弱い

材料研究では、融点が約56~65℃と報告されています

POINT 2
HIFU・RFは熱を利用する

機器によって熱の温度・広がり方・届く深さが異なります

POINT 3
PDO・PLCLは比較的熱に強い

HIFU・RFの施術を受ける予定がある場合、PDO・PLCLがオススメです

この記事の結論: 糸リフト後にHIFUやデンシティなどの熱治療も検討している方には、熱に対する余裕を考え、PDOまたはPLCLが選択肢になります。その中でも、熱への配慮に加えて、リフト力と持続性も重視したい方にはPLCLがおすすめです。当院でも、これらのバランスを考えてPLCL糸を中心に使用しています。

糸リフトとHIFU・RFを組み合わせたい方へ

これまでに受けた治療と今後のご希望を確認し、施術の順番まで含めてご提案します。ご相談のみでも構いません。

そもそもPDO・PCL・PLCLとは?

糸リフトでは、皮下へ挿入した糸のコグ(突起)を組織へ引っかけ、下がった組織を物理的に持ち上げます。糸の周囲では、施術後の傷を治そうとする働きに伴うコラーゲン形成も期待できます。

現在使われている吸収糸の代表的な素材が、PDO・PCL・PLCLです。

素材 正式名称 一般的な特徴 治療を選ぶ際の考え方
PDO ポリジオキサノン 医療用縫合糸として長い使用実績がある 比較的早く吸収されるため、比較的短い期間の効果を想定した施術に用いられる
PCL ポリカプロラクトン 柔軟性があり、分解が比較的ゆっくり 体内に比較的長く残る一方、素材単体の融点が比較的低い
PLCL ポリ乳酸-カプロラクトン共重合体 ポリ乳酸とPCLの特徴を組み合わせた素材で、強度と柔軟性を兼ねそろえている 柔軟性・支持性・持続性のバランスが調整されている

それぞれの素材について、熱への性質だけでなく、柔らかさ・リフト力・持続期間まで比較したい方は、PDO・PCL・PLCLの違いと選び方を解説した記事も参考にしてください。

PCLは本当に熱に弱い?

PCLは体内で少しずつ分解・吸収される素材で、材料研究では融点がおおむね約56~65℃と報告されています。

PDOやPLCLと比べると熱に対する耐性は低めと考えられるため、糸リフト後にHIFUやデンシティなどの熱治療を予定している場合は、糸の素材選びに配慮が必要です。

PCLの「持ちが長い」と「熱に強い」は別の性質です

PCLは体内での分解が比較的ゆっくりで、長期間残りやすい素材です。しかし、体内に長く残ることが、そのまま高温に強いことを意味するわけではありません。

このため、PCL糸が入っている部位へ高い熱エネルギーを重ねる場合には、糸の位置と熱が発生する深さが重ならないかを考える必要があります。

簡潔にまとめると: PCLは融点が低めなため、糸リフト後にHIFUやRFなどの熱治療も受けたい場合は、照射時期や深さに配慮が必要です。そのため当院では、熱への配慮に加えてリフト力・持続性も兼ね備えたPLCL糸を第一選択としてご提案しています。

HIFUとデンシティは、どのように熱を届けるの?

同じ「熱を使うたるみ治療」でも、HIFUとRFでは熱の入り方が異なります。

治療 熱のつくり方 温度の考え方 糸リフト後の注意点
HIFU 超音波を決められた深さへ集束させ、熱が集中する小さな点をつくる 焦点部では約60~70℃に達するとされる 糸の挿入部位と時期、HIFUの熱が届く深さに注意が必要
RF
(デンシティなど)
高周波のエネルギーを使って、皮膚・皮下組織を立体的に加熱する 肌の表面と内部では温度が異なり、機器の種類や設定によって熱の届き方が変わる 糸の挿入部位と時期、RFにより広がる熱の範囲等に注意が必要

HIFUは「点」で熱をつくり、RFは比較的広い範囲を立体的に加熱します。そのため、同じ温度の数字だけを並べても、糸への影響を正確には比較できません。

それぞれの熱の入り方や効果を詳しく知りたい方は、HIFUの効果と限界を解説した記事と、RF治療「デンシティ」の解説記事をご覧ください。

当院がPLCL糸を中心に選ぶ理由

PLCLは、ポリ乳酸とPCLを合わせた素材です。PCLのしなやかさを生かしながらポリ乳酸を組み合わせることで、顔の動きになじむ柔らかさと、たるんだ組織を支える力のバランスを調整できます。

当院が重視するのは、1つの性能だけではありません

柔軟性 × 支持性 × 持続性

顔の動きになじみながら、組織をしっかり支える治療を目指します。

硬さだけを追求すると、表情の動きが多い顔では違和感や引きつれにつながることがあります。反対に柔らかすぎる糸では、十分な牽引力を得にくい場合があります。

そのため当院では、柔軟性と支持性を併せ持つPLCLという素材に加えて、挿入する本数、方向、深さまで含めて治療を設計します。

リフト力を決める主な要素

糸の素材
柔軟性・分解速度
×
コグの構造
組織をつかむ力
×
挿入設計
本数・方向・深さ

「PLCLだから必ず強く上がる」のではなく、素材を生かす設計が重要です。

耐熱性について: PLCLは高融点なポリ乳酸成分を含むため、PCL単体よりも熱に対するマージンが大きい傾向にあります。ただし、ポリ乳酸とカプロラクトンの配合比率や製造方法によって熱特性は変わるため、「すべてのPLCL糸がPCL糸より何℃強い」と一律に示すことはできません。

「長く残る糸」だけで選んでいませんか?

今後受けたいHIFU・RF治療まで伺い、糸の素材と治療計画をご提案します。

糸リフトとHIFU・デンシティは、どちらを先に受けるべき?

これから糸リフトと熱治療の両方を受ける予定がある場合は、一般的にHIFUやRFを先に行い、その後に糸を挿入すると治療計画を立てやすくなります。

組み合わせ治療の基本的な考え方

STEP 1
HIFU・RF
皮膚・皮下組織へ熱を届ける
STEP 2
糸リフト
組織を物理的に持ち上げる

すでに糸リフトを受けている場合でも、その後のHIFU・RFが一律に禁止されるわけではありません。近年は、PLLA/PCL系の糸とエネルギーデバイスを同日に組み合わせた報告もあります。

ただし、その報告ではエネルギー治療を先に行い、画像で解剖学的な位置を確認してから糸を挿入しています。

当院では、次の内容を確認して施術の可否と時期を判断します。

  • 使用した糸の素材
  • 施術を受けた時期
  • 糸を挿入した部位
  • 受けたいHIFU・RF機器の種類
  • 照射する部位
  • 腫れ・痛み・ひきつれなどが残っていないか

糸リフトの施術方法、持続期間、ダウンタイム、施術後の注意点を先に確認したい方は、糸リフトの効果・持続期間・ダウンタイムをまとめた記事もあわせてご覧ください。

PDO・PCL・PLCLの比較

比較項目 PDO PCL PLCL
素材構造 1種類の成分からできた素材 1種類の成分からできた素材 ポリ乳酸+カプロラクトンの2つの成分を組み合わせた素材
熱に対する考え方 熱治療も考えている方の選択肢 融点は約56~65℃。熱への耐性は低め 熱治療も考えている方の選択肢
柔軟性 やや硬く張りがある 比較的高い 比較的高い
HIFU・RFとの併用 素材だけでなく位置・時期を確認 低い融点を踏まえ、照射時期に配慮 素材だけでなく位置・時期を確認
当院の位置づけ 熱治療を考えている場合に検討 持続性が高い 耐熱性・リフト力・持続性のバランスから特におすすめ

当院の糸リフト料金

糸リフト料金(税込)

当院では、使用する糸の素材と本数に応じて料金をご案内しています。

糸の種類 1本あたり 特徴
PCL 22,000円 しなやかさと持続性を重視したい方の選択肢
PLCL 27,000円 リフト力・持続性・今後の熱治療まで含めて考えたい方におすすめ

必要な本数の目安

両側で8~12本程度が目安です。少なくとも6本程度は必要になることが多いですが、たるみの位置や程度、目指す仕上がりによって適した本数は異なります。糸代以外の追加費用はかかりません。

※料金は税込です。最新の料金や取り扱い状況は、当院の料金表をご確認ください。

ほうれい線に対して糸リフトが向いているケースや、注入治療との違いを知りたい方は、糸リフトとほうれい線治療の関係を解説した記事も参考にしてください。

よくあるご質問

Q.PCL糸を入れると、ハイフは受けられませんか?

一律に受けられないわけではありません。ただし、PCLは素材単体の融点が比較的低いため、「どの糸を、いつ、どの部位に入れたか」と「HIFUの熱をどの深さへ届けるか」を確認してから施術を判断します。まずは糸リフトを受けた医療機関へ、使用した糸をご確認ください。

Q.PLCLならデンシティの熱を受けても大丈夫ですか?

PLCLであれば無条件に影響を受けないとはいえません。PLCLの熱特性は配合や製造方法で異なり、デンシティの熱の広がりも設定によって変わります。糸の位置と施術時期を確認して判断します。

Q.熱に強いPDOを選ぶ方がよいのでしょうか?

糸リフト後にHIFUやデンシティなどの熱治療も予定している場合は、PDOまたはPLCLが選択肢になります。ただし、糸リフトは熱への強さだけでなく、リフトアップ力や持続性も含めて選ぶことが大切です。これらも求める方には、当院ではPLCLをよりおすすめしています。

Q.糸リフト直後にデンシティやRFを受けてもよいですか?

自己判断で直後に受けることはおすすめしません。動物を用いた研究では、PDO糸を入れて2週間後にモノポーラRFを照射すると、糸だけを入れた場合よりも炎症が強くみられたため、早い時期の併用はすすめられないと報告されています。人の顔へそのまま当てはめることはできませんが、糸がなじむ前の熱治療は避け、使用した糸・施術時期・照射部位を確認して判断することが大切です。

Q.PLCLはPCLよりリフト力が強いですか?

PLCLは、熱治療も考慮しながら、リフト力と持続性の両方を求める方に適した選択肢です。ただし、実際のリフト力は素材だけで決まるものではなく、糸の太さ、コグの数と形、挿入本数、方向、深さも大きく関係します。当院では、PLCLの特性を生かし、一人ひとりのたるみ方に合わせて挿入設計を調整しています。

Q.他院で入れた糸の種類が分かりません。

可能であれば、施術を受けた医療機関へ製品名、素材、施術日をご確認ください。分からない場合は、施術部位の診察や経過をお伺いし、安全性を優先して治療時期をご提案します。

まとめ|糸の素材と、その後の治療計画まで考えて選ぶ

PCLは体内でゆっくり分解される一方、素材単体の融点は約56~65℃で、熱に対する耐性は低めと考えられます。

そのため、糸リフト後にHIFUやデンシティなどの熱治療を予定している場合は、PDOやPLCLなどの素材も含めて糸を選ぶことが重要です。

糸リフトを検討している方も、すでに糸が入っていて熱治療を受けたい方も、まずは使用した糸と今後の治療計画を整理してみましょう。

自分に合う糸と治療の順番を相談したい方へ

たるみの状態、過去の施術、今後受けたいHIFU・RFまで確認し、無理のない治療計画をご提案します。

■ 参考文献・注記

  1. PCLは、約56〜65℃という比較的低い温度で溶け始める性質を持った成分です。(Przybysz M, et al. 2019 / PubMed
  2. 美容医療で使われるHIFU(ハイフ)は、狙った場所に約60〜70℃の小さな熱のダメージを作って引き締めます。(Fabi SG, 2015 / PubMed
  3. 高周波(RF)機器の熱の伝わり方や到達する深さは、モノポーラやバイポーラといった方式、出力設定、照射時間によって大きく変わります。(Dayan E, et al. 2020 / PubMed
  4. PLCL(PLLAとPCLを組み合わせた素材)の強度や熱に対する強さは、成分の配合比率や分子構造によって変化します。(Fernández J, et al. 2012 / PubMed
  5. PDOの糸を入れた2週間後にモノポーラRFを照射した豚の実験では、強い炎症が起きてしまったため、この併用は推奨されないという結果が出ています。(Li K, et al. 2022 / PubMed
  6. PLLA/PCL系の糸とエネルギー機器の同日併用に関する安全性のデータはありますが、単一のクリニックでの限られた研究結果であり、すべての糸や機器で安全だと保証するものではありません。(Perfeito D, et al. 2025 / PubMed
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