著者:
西日本初ほうれい線・シワ治療専門クリニック
医療法人新月会理事長/大阪Houreisen美容皮膚科院長
笹川新也 ドクター紹介はこちら
今回は、飲むだけでニキビ撃退効果のあるビタミンA製剤、アクネトレントのお話です。
目次
アクネトレントとは?
アクネトレントとは、難治性ニキビの改善・治癒をもたらすお薬です。
服用することで、皮脂腺を収縮させ、また角化を抑制することでニキビの出現も減らせます。
効果が非常に高く、リバウンドも起こりにくいため、「ニキビ治療の最後の切り札」とも言われています。
1日1回1錠を食後に内服し、治療開始後1ヶ月間は、約3割の患者様に一過性のニキビの増悪(好転反応)が認められます。
個人差にはなりますが、16~24週間ほどで効果が期待できます。早い方では4~12週間で効果があらわれます。
アクネトレントの主な特徴
・ニキビ治療薬(アクネトレント)はイソトレチノインというビタミンAの一種で、皮脂の分泌を抑える作用、
アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用に優れているため、重症の炎症性ニキビに対して効果があります。
・アクネ菌を殺菌する作用がある抗生剤や、ホルモン剤、ステロイドなどの成分は含まれていません。
・中等度~重度のニキビ治療に広く用いられ、欧州や米国の治療ガイドラインでは高いレベルで推奨されており、
全世界で30年以上前から使用されています。
アクネトレントの働きとは?
1.細胞を正常化する
細胞に働きかけて、皮脂腺や表皮細胞を正常にする働きがあります。
ニキビの原因は皮脂腺が発達することで、皮脂分泌が過剰になり悪化することが多く、
アクネトレントで皮脂腺を収縮することで正常にします。
また、治療終了後も、皮脂腺や表皮細胞が正常化している割合が多いと報告されております。
皮脂腺が正常に働くことで、異常な角化(皮膚が厚くなり、毛穴がつまる)が起こらなくなり、ニキビの炎症が起こりにくくなります。
2.皮脂腺の退縮
直接的な抗菌作用はありませんが、皮脂腺を退縮させ、皮脂分泌を大きく減らす作用があります。
この作用により、ニキビの原因となるアクネ菌の数を減らすことができます。
服用終了後もある程度は皮脂量の減少が継続されます。
3.抗炎症作用
ニキビの原因であるアクネ菌に対する細胞の免疫反応を正常化する「免疫調整作用」を有することも報告されています。
つまり、アクネ菌に対して免疫をつけ、炎症を起こしにくくすることによって、ニキビの悪化を防いでくれます。
アクネトレントの副作用
アナフィラキシー、抑うつ状態、眼疾患、肝機能障害、腎機能障害、視力障害、胸の圧迫感、息切れ、
喘鳴、肌の乾燥(特に口周囲)、口渇、発疹、頭痛、吐き気、下痢、嘔吐、脱毛、過度の発汗、関節炎などが生じることがあります。
その中でもほぼ起こる副作用が、皮膚の乾燥と皮むけです。
10%未満の確率で、光過敏症・ドライアイ・のどの渇き等
0.1%未満の確率で、うつ病・急性膵炎・黄疸・アナフィラキシーショック等があります。
アクネトレントとの併用に注意すべき薬剤
・ミノマイシンやビブラマイシンなどのテトラサイクリン系の抗生剤
相互作用で頭痛の原因となる頭蓋内圧を上げる副作用が強くでることがあります。
・プレドニンやプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤
相互作用で骨を弱くする副作用が強くでることがあります。喘息の治療で使用される吸入のステロイド薬やアトピー性皮膚炎で使用される外用のステロイド薬は、併用しても問題ありません。
・アレビアチンやヒダントールなどのフェニトイン(抗てんかん薬)
抗てんかん薬自体に骨を弱くする作用があり、アクネトレントとの相互作用は明らかではないですが、定期的な骨密度チェックをお勧めします。
・ビタミンA製剤
アクネトレントの副作用全般を増強させる恐れがあります。総合ビタミン剤にはビタミンAが入っているものが多いため、
必ず成分表の確認をお願いします。βカロチンや、食事やジュースから摂取するビタミンAは問題ありません。
ビタミンAのサプリを内服する場合は、アクネトレントのな服終了後から最低2カ月以上の期間を空けて下さい。
アクネトレントの内服方法
1日1回1錠を食後に内服します。
上記に述べたように、内服開始後1か月は約3割の方に、ニキビが増悪するなど好転反応が生じることがあります。
その後16~24週で効果が出てきます。
皮膚の状態や副作用の有無を診察して、ニキビの改善が乏しい場合には増量していきます。
推奨用量は0.5mg~1.0mg/kg/日で、極量は2mg/kg/日です。通常6ヶ月を1クールとして内服を終了します。
アクネトレントを内服できない人
・妊娠中、授乳中、妊娠を希望している方
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当院のアクネトレントの料金
1錠20㎎ 1か月分(30錠) 20,000円(税込み)