この記事の執筆・監修
笹川 新也
Houreisenスキンクリニック 統括院長・美容皮膚科医
医療法人新月会 理事長
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ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisenスキンクリニック/東京Houreisenスキンクリニック/名古屋Houreisenスキンクリニック
「頬のあたりが以前よりくすんで見える」「左右の頬に薄茶色のシミが広がってきた」。そのような変化がある場合、肝斑(かんぱん)の可能性があります。
肝斑は、紫外線や女性ホルモンなどの影響でメラニンが増えて生じるシミです。内服薬や外用薬、レーザーなどで治療できますが、いわゆる日焼けジミとは治療方法が異なります。まずは何のシミなのかを診察で確認することが大切です。
肝斑とは?ほかのシミとの違い
肝斑は、主に頬骨のあたりに薄茶色から褐色の色素沈着が広がる病気です。30〜50代の女性に多くみられますが、男性にもできます。額や鼻の下、顎などに出ることもあります。
特徴は、左右の頬に似た形で現れやすく、シミの境界がぼんやりしていることです。ただし、肝斑が左右対称とは限りませんし、左右対称のシミがすべて肝斑というわけでもありません。

| シミの種類 | 見分ける際の手掛かり |
|---|---|
| 肝斑 | 頬を中心に茶色い色素沈着が面状に広がる。左右に出ることが多い。 |
| 日焼けジミ(老人性色素斑) | 日光が当たりやすい部分にできる、比較的輪郭のはっきりした茶色いシミ。 |
| 炎症後色素沈着 | ニキビ、湿疹、かぶれなど、炎症が起きた場所に茶色い色が残る。 |
| ADM(後天性真皮メラノサイトーシス) | 頬骨付近などに灰褐色〜青みがかった小さな斑点が現れることがある。真皮に色素をつくる細胞が存在する。 |
実際には、肝斑と老人性色素斑、ADMなどが同じ頬に重なることもあります。色や分布だけでなく、発症した時期、これまでの治療、炎症の有無を確認して診断します。
肝斑ができる原因とは?皮膚の中で起こっている変化
皮膚の色をつくるメラニンは、表皮にある「メラノサイト」という細胞でつくられます。肝斑ではこの細胞が活発に働き、メラニンが必要以上につくられるため、頬などが茶色く見えるようになります。
以前はメラニンの増加が主に注目されていましたが、近年では、表皮と真皮の境目にある「基底膜」の損傷や、真皮の毛細血管の増加も肝斑のある皮膚で確認されています。
基底膜は表皮を下から支える薄い構造です。ここが傷むと、色素が真皮側へ落ち込み、色素沈着が長引くことに関係すると考えられています。また、肝斑の部分では血管から出る物質がメラノサイトの働きに影響する可能性も研究されています。
つまり、肝斑は表面のメラニンだけでなく、その下にある皮膚の状態も関わる病気です。このため、最近はメラニンの産生を抑える治療に加え、基底膜や真皮の血管に着目した治療も研究されています。
肝斑を濃くする要因と、自宅でできる対策
紫外線・可視光を防ぐ
紫外線はメラニンの生成を促し、肝斑を悪化させる大きな要因です。また、日光に含まれる可視光も肝斑に影響するため、紫外線だけを防げばよいわけではありません。
日焼け止めはSPF30以上で、UVA・UVBの両方に対応したものを選び、十分な量を均一に塗布しましょう。屋外では2時間ごとを目安に、汗をかいた後やタオルで拭いた後にも塗り直してください。帽子や日傘を使うことも効果的です。
可視光対策には、酸化鉄を含んだ色つきの日焼け止めも役立ちます。

洗顔・クレンジングでこすりすぎない
洗顔やクレンジングで頬を強くこすったり、マッサージを繰り返したりすると、肌に炎症が起き、色素沈着が重なってシミが濃く見える場合があります。
洗顔料やクレンジングは適量を使い、指で強くこすらずに落としましょう。タオルも押さえるように使い、乾燥やヒリつきがある場合は保湿や化粧品の見直しを行います。
ナイアシンアミド配合の化粧品は、メラニンが周囲の細胞に受け渡される過程に働きかけるため、スキンケアの選択肢の一つです。ただし、化粧品だけで濃い肝斑を十分に改善することは難しい場合があります。
女性ホルモンとストレスの影響
肝斑は妊娠中に現れたり、ピルの服用をきっかけに濃くなったりすることがあります。女性ホルモンの変化がメラノサイトに影響すると考えられています。出産後に薄くなる方もいますが、そのまま続く場合もあります。
また、ストレスが強い時期に肝斑が目立つようになることもあります。ストレスに伴うホルモンの変化などが関係する可能性はありますが、詳しい仕組みはまだ明らかになっていません。
ピルを服用している方は、肝斑を理由に自己判断で中止せず、処方した医師に相談してください。
肝斑の内服薬・外用薬による治療
日焼け対策を行いながら、メラニンの産生を抑える内服薬や外用薬を使用します。シミの濃さや肌の状態によっては、薬だけで改善がみられる方もいます。
トラネキサム酸の内服
トラネキサム酸は、肝斑の内服治療でよく用いられる成分です。プラスミンという酵素の働きを抑え、メラノサイトへの刺激を減らすことで、メラニンが過剰につくられるのを抑えると考えられています。臨床研究でも肝斑への効果が報告されています。
ビタミンCやL-システインにはメラニンの生成を抑える働きがあり、ビタミンEには抗酸化作用があります。トラネキサム酸ほどの効果は期待しにくいものの、一緒に内服することで肝斑の改善をサポートすることができます。
トラネキサム酸の服用量や期間は、肝斑の状態や体調に合わせて決めます。血栓症にかかったことがある方、ピルなどのホルモン剤を服用している方、喫煙中の方、40歳以上の方、高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病などの持病がある方、腎機能に問題がある方は、服用前に医師へお伝えください。血栓症のリスクや併用薬を確認し、服用できるか判断します。
ハイドロキノン・トレチノインの外用
ハイドロキノンは、メラニンをつくる酵素「チロシナーゼ」の働きを抑える外用剤です。肝斑を薄くする目的で使います。
トレチノインはビタミンA誘導体で、表皮の細胞の生まれ変わりを促し、色素沈着の改善を助けます。ハイドロキノンと併用する場合もあります。
どちらも赤みや皮むけ、ヒリつきが出ることがあるため、肌の状態に合わせて濃度や使用頻度を調整します。強い刺激が続くとかえって色素沈着が目立つ場合があるので、無理に塗り続ける必要はありません。妊娠中はこれらの外用を避け、妊娠を希望する方や授乳中の方も使用前に医師へご相談ください。
レーザートーニングは肝斑に効果がある?
レーザートーニングは、低出力のレーザーを顔に均一に照射し、メラニンを減らして肝斑を薄くしていく治療です。一般的な濃いシミへのスポット照射とは、照射する強さや方法が異なります。
内服薬・外用薬や日焼け対策で十分に改善しない場合に、レーザーを組み合わせることがあります。肝斑は刺激を受けると濃くなることがあるため、治療経過を診ながら、出力や照射間隔を調整します。 施術後には赤みやヒリつきが出るほか、まれに色素沈着や部分的な色抜けが起こる場合もあります。
当院の大阪院では、トライビームを使用したPTPトーニングを行っています。1回8,800円(税込)で、通常は2〜4週間おきに、まず5〜10回程度を目安にしています。必要な回数は改善の程度によって異なります。
基底膜や血管に着目した治療も行っています
肝斑にはメラニンの増加だけでなく、基底膜や真皮の血管の変化も関わると考えられています。当院では、シミの濃さだけでなく、頬の赤みやくすみ、肌のハリなども診察し、必要に応じて次の治療を組み合わせています。
ポテンツァプライムVMLSモード:赤みや血管の関与に着目
ポテンツァプライムのVMLSモードは、微細な針から真皮へ高周波(RF)エネルギーを届ける治療です。血管関与性の肝斑に効果的です。 当院でも、赤みを伴う肝斑や色ムラが気になる方に使用しています。
当院の症例では、赤みを伴う肝斑がみられた40代女性にVMLSモードで治療を行い、1か月後には頬の赤みやくすみが軽減しました。
料金は全顔1回39,800円(税込、麻酔・鎮静パック込み)。約4週間おきに3〜5回程度を目安に、治療経過を診ながら回数や照射条件を調整します。施術後は一時的な赤み、腫れ、ヒリつき、内出血などがみられることがあります。
スネコス:基底膜と肌のハリに着目
スネコスは、非架橋ヒアルロン酸と6種類のアミノ酸を配合した注入製剤です。基底膜の構成成分であるⅣ型コラーゲンの産生に関する基礎研究があり、当院では、肝斑に加えてくすみや肌のハリ低下が気になる方に使用することがあります。
肝斑のある皮膚では基底膜の損傷がみられるため、当院ではスネコスによる基底膜の改善を期待して、トーニングやポテンツァプライム、内服治療などと組み合わせています。
当院で使用するスネコスパフォルマは、2cc 33,000円/4cc 55,000円(税込)です。通常は複数回の注入を行い、必要な量や回数は診察時に相談します。施術後に赤み、腫れ、内出血などが出ることがあります。
肝斑と老人性色素斑が重なっているときの治療順序
同じ頬に肝斑と老人性色素斑が重なっている方も少なくありません。
この場合、肝斑を治療せずに先に濃いシミをスポット照射すると、重なっている肝斑まで刺激され、かえって濃くなることがあります。
そのため当院では、まず内服や外用、必要に応じたトーニングなどで肝斑を治療し、状態が落ち着いてから残っている老人性色素斑へのスポット照射を検討します。スポット照射を行う際も、肝斑のある部分を避けて治療します。
肝斑は治療後も再び濃くなることがある
肝斑は一度改善しても、紫外線やホルモンの影響などで再び濃くなることがあります。
肝斑が目立たなくなってきたら、内服を減らせるか、外用や日焼け対策を中心に経過をみられるか、レーザーの間隔をあけられるかを診察時に相談します。改善が不十分な場合も、治療を増やす前に、ほかのシミが重なっていないか、肌に刺激が加わっていないかを確認します。
肝斑なのか、ほかのシミなのか分からない方や、シミ治療後にかえって濃くなったという方も、これまでの経過を含めてご相談ください。













