著者:
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科/東京Houreisenスキンクリニック/名古屋Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会代表 笹川新也 ドクター紹介はこちら
先に結論をお伝えすると、ボトックスによる痩身は「脂肪を減らす治療」ではなく、発達した筋肉を少しずつ細く見せる治療です。
そのため、肩・腕・ふくらはぎなどの太さの原因が筋肉にある方では、ボトックスが選択肢になることがあります。一方で、脂肪やむくみ、骨格が主な原因の場合は、ボトックスだけで大きく細くするのは難しいです。
肩幅が広く見える、腕が太く見える、ふくらはぎがししゃも脚のように張っている……。
ダイエットや運動を頑張っているのに、なかなか細くならないと悩まれている方もいらっしゃいます。
その原因は、脂肪ではなく筋肉の発達かもしれません。
厚く鍛えられた筋肉は健康的ではありますが、女性の場合、着たい服が似合いにくい、ノースリーブやスカートを避けてしまう、肩まわりがたくましく見えるなど、見た目のコンプレックスにつながることもあります。
このような「筋肉の張り」が原因の部分的な太さに対しては、ボトックス治療が選択肢になります。
このようなお悩みはありませんか?
- 肩の盛り上がりで首が短く見える
- ノースリーブを着ると肩や腕がたくましく見える
- ふくらはぎだけダイエットしても細くならない
- 運動すると脚がさらに張ってしまう
- 脂肪というより、触ると硬い筋肉の張りを感じる
こうした場合は、単純に体重を落とすよりも、筋肉の発達を見極めた方が現実的です。
目次
ボトックスで部分痩せができる理由
ボトックス(A型ボツリヌストキシン)は、筋肉と神経が接している神経筋接合部に作用します。
筋肉を動かすためには、神経からアセチルコリンという神経伝達物質が出て、筋肉に「動きなさい」という指令が伝わります。ボトックスはこの働きを抑えることで、注射した筋肉の動きを弱めます。
要するに、脳が筋肉に指令を出しても、ボトックスを注射した筋肉は以前より動きにくくなります。
筋肉は使う頻度や負荷が減ると、少しずつボリュームが落ちていきます。これを利用して、発達しすぎた筋肉を細く見せるのが痩身ボトックスの考え方です。
ただし、ここで大切なのは、ボトックスは脂肪を溶かす治療ではないという点です。
脂肪が多い部位、むくみが強い部位、骨格的に幅がある部位では、ボトックスだけで大きな変化を出すのは難しいことがあります。
痩身ボトックスが合いやすい方
- 触ると硬く、筋肉の張りを感じる
- 昔スポーツをしていて筋肉が発達している
- 肩・腕・ふくらはぎだけが張って見える
- 体重を落としても、その部位だけ細くならない
- 脂肪吸引までは考えていないが、ラインをすっきり見せたい
ボトックスだけでは限界が出やすい方
- つまめる脂肪が多い
- むくみで太く見えている
- 骨格的な幅が主な原因
- 短期間で劇的な変化を期待している
- 筋肉を弱めることによる一時的な違和感を避けたい
顔であればエラボトックスが代表的ですが、この記事では身体の痩身ボトックスについて解説します。エラの張りが気になる方は、エラボトックスについての記事も参考にしてください。
肩痩せがしたい|肩ボトックス
肩の痩身ボトックスでは、主に僧帽筋という筋肉をターゲットにします。
近年は、長時間スマートフォンを見たり、パソコン作業をしたりする時間が増えています。前かがみの姿勢が続くと、肩まわりに力が入りやすくなり、僧帽筋が発達して肩が張って見えることがあります。
肩のラインが盛り上がっていると、首が短く見えたり、上半身がたくましく見えたりします。ノースリーブやドレスを着たときに気になる方も多い部位です。
僧帽筋にボトックスを注射すると、筋肉の働きが弱まり、時間をかけて肩の張りがすっきりして見えることがあります。
また、肩こりや頭痛の原因に僧帽筋の緊張が関係している場合、肩の重さが軽く感じる方もいます。ただし、肩こりや頭痛の原因はさまざまですので、すべての方に同じような改善が出るわけではありません。
海外では、ボツリヌストキシンが慢性片頭痛の治療に用いられることもありますが、美容目的の肩ボトックスとは目的も投与設計も異なります。
肩ボトックスが向いている方
- 肩の盛り上がりで首が短く見える方
- 肩のラインをすっきり見せたい方
- 肩こりも併せて気になっている方
- 華奢な上半身の印象に近づけたい方
リスク・副作用
肩の筋肉は、腕を持ち上げたり、重い物を持ったりする時にも使われます。
投与量が多すぎたり、効き方が強く出たりすると、一時的に腕を上げにくい、重い物を持ちにくい、肩まわりにだるさを感じることがあります。
そのため、肩ボトックスでは、単にたくさん打てばよいわけではなく、筋肉量や生活動作を見ながら投与量を調整することが大切です。
腕痩せがしたい|二の腕・三角筋ボトックス
気を付けの姿勢をとったとき、肩の外側や二の腕のあたりがせり出して見えることを気にされる方がいます。
昔スポーツをされていた方、トレーニング習慣がある方、日常的にお子様を抱っこする方などでは、三角筋や上腕三頭筋が発達して、腕が太く見えることがあります。
この場合、腕を細く見せたいときには、三角筋や上腕三頭筋にボトックスを注入することがあります。
三角筋は、ワクチン接種などで筋肉注射を行う部位でもあります。腕の外側の張りが主に筋肉によるものであれば、ボトックスによってラインがすっきり見える可能性があります。
一方で、二の腕の下側のたるみや脂肪が主な原因の場合は、ボトックスだけで細くするのは難しいです。脂肪・たるみ・筋肉のどれが原因かを分けて考える必要があります。
腕ボトックスが向いている方
- 肩の外側の筋肉が張っている方
- 腕を下ろしたときに外側へ盛り上がって見える方
- 脂肪というより筋肉の硬さを感じる方
- スポーツ歴やトレーニング歴で腕の筋肉が発達している方
リスク・副作用
三角筋に強く効きすぎると、一時的に腕を挙げにくくなる可能性があります。
また、上腕三頭筋に効きすぎると、腕を伸ばす動作に違和感が出ることがあります。日常生活や仕事で腕をよく使う方は、投与量や部位を慎重に調整する必要があります。
脚痩せがしたい|ふくらはぎ・太ももボトックス
脚は筋肉量が多く、脚痩せを目的にボトックスを使用する場合は、比較的多くの単位数が必要になることがあります。
脚痩せを希望される方で多いのは、ふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎは、ダイエットをしてもなかなか細くならない部位です。これは、ふくらはぎの膨らみに占める筋肉の割合が大きい方がいるためです。
特に、運動習慣がある方、ヒールをよく履く方、つま先重心になりやすい方では、腓腹筋が発達して、いわゆる「ししゃも脚」のように見えることがあります。
ダイエットのために運動をしていたら、逆に脚の筋肉が鍛えられてしまったという方もいます。
ふくらはぎの筋肉が発達しているためにスカートを避けている方では、ボトックスによってラインをすっきり見せられる可能性があります。
また、太ももの筋肉、特に大腿四頭筋の張りが強い場合にも、ボトックスを検討することがあります。
ふくらはぎボトックスが向いている方
- ふくらはぎの外側・内側に筋肉の盛り上がりがある方
- 体重を落としても脚だけ細くならない方
- 運動すると脚が張りやすい方
- ヒールを履くとふくらはぎの張りが強く出る方
- 脂肪というより筋肉の硬さを感じる方
リスク・副作用
太ももの筋肉はもともと筋肉量が多いため、ボトックスを使用しても違和感が出にくいこともあります。
一方で、ふくらはぎの筋肉群にボトックスが強く効くと、一時的に歩行時の違和感、階段の上り下りのしづらさ、つま先立ちのしにくさが出ることがあります。
場合によっては、歩きにくさを感じることもあります。
特にハイヒールを履く方、立ち仕事が多い方、スポーツをされる方では注意が必要です。
また、脚のボトックスは投与量が多くなりやすいため、抗体リスクにも配慮する必要があります。
痩身ボトックスで細くなりやすい部位・なりにくい部位
| 部位 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 肩 | 僧帽筋の盛り上がりで肩が張って見える方 | 効きすぎると腕を上げにくい、重い物を持ちにくいことがあります |
| 腕 | 三角筋や上腕三頭筋の張りが強い方 | 脂肪やたるみが主な原因の場合は変化が出にくいです |
| ふくらはぎ | 腓腹筋が発達してししゃも脚に見える方 | 歩行時の違和感、ヒールの履きにくさに注意が必要です |
| 太もも | 大腿四頭筋の張りが強い方 | 必要単位数が多くなりやすく、効果の見極めが必要です |
痩身ボトックスは、脂肪吸引のように脂肪を直接減らす治療ではありません。
そのため、「どこに打つか」よりも、「本当にその太さの原因が筋肉なのか」を見極めることが大切です。
痩身ボトックスの効果持続期間
ボトックスは時間とともに効果が切れてくるため、効果を継続させたい場合は追加で注入する必要があります。
シワ取りや多汗症治療として用いる場合、注射後およそ1〜2週間で効果を感じやすくなります。
一方、痩身目的で用いる場合は、筋肉そのもののボリュームが落ちて見えるまでにもう少し時間がかかります。
具体的には、1カ月後あたりから少しずつ変化が見え始め、2〜3カ月後に最も変化を感じやすくなることが多いです。
その後、6カ月前後で少しずつ筋肉の働きが戻り、時間の経過とともに筋肉のボリュームも戻ってきます。
個人差はありますが、12カ月ほど経つと元の状態に近づくことがあります。
なお、効果が完全に切れきる前に追加注入すると、筋肉の戻りを抑えやすくなり、より変化を維持しやすい場合があります。
つまり、痩身ボトックスは1回で永久に細くなる治療ではありません。繰り返すことで、筋肉のボリュームが落ちた状態を維持しやすくなる治療です。
ボトックスの持続期間について詳しく知りたい方は、ボトックスの持続期間と最適な治療間隔についてもご覧ください。
痩身ボトックスの製剤選び|大量投与では抗体リスクにも配慮が必要です
当院では、ボトックス製剤を複数取り扱っています。
痩身ボトックスでは、肩・ふくらはぎ・太ももなど、顔のシワ治療と比べて使用単位数が多くなることがあります。
そのため、効果だけでなく、繰り返し治療を行う場合の抗体リスクにも配慮する必要があります。
抗体とは、ボトックスに対して体が反応し、繰り返し治療を行う中で効きにくくなる可能性に関係するものです。
頻度は高いものではありませんが、痩身ボトックスのように一度に多くの量を使う治療では、最初から意識しておいた方がよいポイントです。
当院では、次世代ボトックス製剤であるコアトックスを採用しています。
コアトックスは、製剤に含まれる不純なたんぱく質が少ないことが特徴で、アレルギーや抗体リスクに配慮したい方に選択しやすい製剤です。
特に、肩・ふくらはぎ・太ももなど、投与量が多くなりやすい痩身ボトックスでは、コアトックスを選ぶメリットが出やすいと考えています。
ボトックスの抗体について詳しく知りたい方は、ボトックスを打ち続けると耐性がついて効きにくくなる?抗体についてをご覧ください。
痩身ボトックスの料金
当院では、部位や筋肉量、必要単位数を診察で確認したうえで、適切な投与量をご提案しています。
肩・腕・ふくらはぎ・太ももでは、必要な単位数が大きく異なります。
特に脚は筋肉量が多いため、顔のボトックスよりも必要量が多くなる傾向があります。
料金の詳細は、以下の料金ページをご確認ください。
次世代ボトックス(コアトックス)
痩身ボトックスでは投与量が多くなりやすいため、当院ではコアトックスをおすすめすることがあります。
経済性だけでなく、繰り返し治療を考える方にとって、抗体リスクに配慮できる点も大切です。
痩身ボトックスで後悔しないために
痩身ボトックスは、うまく適応が合えば、肩・腕・ふくらはぎなどのラインをすっきり見せることができる治療です。
ただし、脂肪が多い部位に打っても大きな変化は出にくく、筋肉を弱めすぎると日常動作に違和感が出ることがあります。
実際の診療でも、「細くしたい」という希望だけで治療を決めるのではなく、どの筋肉がどれくらい発達しているか、生活動作に支障が出ないか、どの程度の変化を目指すかを確認することが大切だと感じます。
特にふくらはぎは、見た目の変化を求める一方で、歩く・立つ・階段を上るといった日常動作に関わる部位です。
そのため、単位数を増やせばよいという考え方ではなく、変化と安全性のバランスを見ながら治療する必要があります。
よくある質問
Q. ボトックスで脂肪は減りますか?
いいえ。ボトックスは脂肪を減らす治療ではありません。
筋肉の働きを弱め、筋肉のボリュームを少しずつ落としていくことで、見た目をすっきりさせる治療です。脂肪が主な原因の場合は、ボトックスだけでは限界があります。
Q. どのくらいで細くなりますか?
痩身目的の場合、1〜2週間で急に細くなるというより、1カ月後くらいから少しずつ変化が見え、2〜3カ月後に変化を感じやすくなることが多いです。
Q. 1回で永久に細くなりますか?
永久的な治療ではありません。
時間の経過とともに筋肉の働きは戻ってきます。効果を維持したい場合は、状態を見ながら追加治療を検討します。
Q. ふくらはぎボトックスは歩けなくなることがありますか?
通常は日常生活に大きな支障が出ないよう投与量を調整しますが、効き方が強い場合、一時的に歩きにくさや違和感が出ることがあります。
特にハイヒールを履く方、立ち仕事の方、運動をされる方は注意が必要です。
Q. コアトックスの方がよいですか?
痩身ボトックスのように投与量が多くなりやすい治療では、抗体リスクへの配慮が大切です。
コアトックスは不純なたんぱく質が少ない製剤であり、繰り返し治療を考える方には選択肢になりやすいと考えています。
まとめ|ボトックス痩身は「筋肉太り」に合う治療です
ボトックスによる痩身は、脂肪を減らす治療ではありません。
肩・腕・ふくらはぎ・太ももなどで、筋肉が発達して太く見えている場合に、筋肉の働きを弱めて少しずつラインをすっきり見せる治療です。
そのため、筋肉が原因の方には合いやすい一方で、脂肪・むくみ・骨格が主な原因の場合は、ボトックスだけでは十分な変化が出にくいことがあります。
また、痩身ボトックスは顔のシワ治療よりも投与量が多くなることがあるため、抗体リスクや効きすぎによる違和感にも配慮が必要です。
大切なのは、「細くしたい部位に打つ」ことではなく、「その太さの原因が本当に筋肉なのか」を見極めることです。
痩身ボトックスは、適応が合うとラインをすっきり見せやすい治療ですが、原因を見誤ると期待した変化が出にくい治療でもあります。
肩の盛り上がり、腕の張り、ふくらはぎの筋肉太りが気になる方は、まず脂肪・むくみ・筋肉のどれが主な原因かを整理することが大切です。
当院では、無理に治療をおすすめするのではなく、筋肉量や生活動作も確認したうえで、その方に合いやすい方法をご提案しています。まずは自分にボトックス痩身が合うかどうかを相談するところからでも大丈夫です。















