著者
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科
院長
笹川新也 ドクター紹介はこちら
ここでは金の糸とMRIの関係について解説致します。
金の糸とは、顔のリフトアップ、たるみ改善を目的とした糸リフト(スレッドリフト)の一種です。
フェイスリフトのようにメスを使わず、効果も長時間持続するとされています。
金の糸が挿入されると、マクロファージによる異物反応により毛細血管の新生、線維芽細胞の増殖、そしてコラーゲン生成が起こり、肌の若返りがなされるとされています。
近年では、生体に自然に吸収されていく素材を用いた「溶ける糸リフト」が普及していますが、金の糸の素材である金は溶けないので、生体内に残り続け、溶ける糸リフトに比べて長時間効果を発揮するとされています。
一方で、日本美容医療協会は金の糸について否定的な見解を示しています。
効果については明確なエビデンスがないということです。
また、「素材が金属」という点において、「金の糸を受けると、今後MRIを受けられなくなる」と言われることがあります。
MRIは体内に埋め込み金属・デバイスがある患者には適応外となることがあるためです。
金の糸を挿入すると、MRI検査を断れられることが多い
生体内に金属が留置されている状態でMRIを受けると、金属が伝導体として働き、留置されている金属の周りで熱上昇が起こり、火傷を引き起こす可能性があります。
実際には、金は磁性が弱く、MRI検査実験をしてみた結果、金の糸がループ状に挿入されていない限りは熱傷を起こすほどの熱の上昇は起こらないと推定されています。しかし、ループ状に挿入されているとフレミングの左手の法則に則り、電磁力が生じ火傷のリスクが上がる恐れがあります。
出典:山下理絵 金の糸の合併症
とは言っても、金の糸が挿入されていると、安全上の観点からMRI検査を断られる施設が多いです。
MRIが禁忌となる可能性がある代表的な埋め込み金属・デバイス
心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器
心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器が体内に入っている方は施術を受けることができません。
電子部品が発熱を起こし、誤作動を起こしたり、機械の故障を招く恐れがあるためです。
人工内耳
人工内耳が入っている方は人工内耳に用いられている磁石がMRIの磁力と反応し、磁石の逸脱、疼痛を起こすことがあります。