効果が半永久的？ほうれい線への脂肪注入のメリット・デメリットとは

著者：
ほうれい線・シワ治療専門クリニック　
大阪Houreisen美容皮膚科/東京Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会代表　笹川新也　ドクター紹介はこちら　

「なんだか最近、ほうれい線が目立ってきたかも…？」そんなふうに感じたことはありませんか？

年齢とともに少しずつ変わっていく顔の印象。
その中でも、口元にできる線は、思った以上に老けた印象を与えてしまうものです。

実はこのほうれい線、ただのシワではなく、頬の脂肪が減ることで深くなるケースが多いんです。
頬がこけてくると、そのぶん皮膚がたるみ、影が強くなってしまう…。
「最近疲れて見える」と言われたら、もしかするとそれが原因かもしれません。

そこで、今注目されているのが【脂肪注入】という治療法。
自分の身体（腹部や太ももなど）から採取した脂肪を、ほうれい線や頬のくぼみに注入することで、自然なふくらみと若々しさを取り戻す画期的な治療です。
しかも、脂肪がしっかり定着すれば半永久的な効果が期待できます。

とはいえ「本当に効果があるの？」「しこりにならない？」「ヒアルロン酸とはどう違う？」
そうした疑問や不安を抱える方も多いでしょう。

この記事では、美容皮膚科医の視点から
脂肪注入のメリット・デメリット、他の注入治療（ヒアルロン酸・グロースファクター）との違いまで徹底解説します。
ご自身に合った最適な“ほうれい線治療”を見つけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ほうれい線の脂肪注入とは？

ほうれい線の脂肪注入とは、自分の体（主にお腹や太ももなど）から採取した脂肪を、ほうれい線のくぼみに注入して、ふっくらとしたハリを取り戻す治療法です。
自己組織（自分の脂肪）を使用するためアレルギーのリスクが少なく、定着すれば半永久的に効果が持続するのが大きな特長です。

加齢とともに頬の脂肪が減少すると、皮膚を支える土台が弱くなり、皮膚がたるんでほうれい線が深くなります。
脂肪注入は、この*土台のボリュームを補うアプローチ治療であり、皮膚表面のくぼみだけを一時的に埋めて見た目を整える(ヒアルロン酸注射)治療とは異なる、より根本的な治療です。

最近では、脂肪を極小粒子に加工した「ナノ脂肪注入」や、PRP（多血小板血漿）などと組み合わせた「再生型脂肪注入」など、技術も進化しています。
これにより、より自然で滑らかな仕上がりが可能になっています。

ほうれい線の脂肪注入のメリットとは

1.安全性が高い

脂肪注入で使用するのは、ご自身の体（主にお腹・太もも・腰回りなど）から吸引した自家脂肪（自分の脂肪細胞）です。
この自己組織を使うという点が、脂肪注入の大きなメリットの一つです。

ヒアルロン酸や他の注入剤は合成物質や動物由来成分が含まれることもあり、体質によってはアレルギー反応や炎症が起こる可能性があります。
一方、自分の体から採取した脂肪は、異物ではないため免疫の拒絶反応が起こりにくく、感染や炎症のリスクが低いのが特徴です。

さらに、注入する脂肪は、遠心分離などで不純物を丁寧に除去し、良質な脂肪細胞だけを選別したうえで使用します。
これにより、定着率の向上だけでなく、安全性と仕上がりの自然さも両立できます。

「人工的な注入剤に抵抗がある」「肌が敏感で副反応が心配」という方にとっても、脂肪注入は比較的安心して受けられる選択肢といえるでしょう。

2.定着すれば半永久的

ほうれい線治療で一般的なヒアルロン酸注射は、注入後6ヶ月〜12ヶ月ほどで体内に吸収されてしまいます。
そのため、定期的な再注入が必要となり、年に1〜2回のメンテナンスを継続する方が多く見られます。

一方、脂肪注入は、体内で定着した脂肪がそのまま残るため、長期的な効果が期待できます。
もちろん、注入した脂肪のすべてが定着するわけではなく、約30〜50％が体内に吸収されるといわれていますが、
残った脂肪は基本的に吸収されず、そのまま“自分の組織”として定着するのが特徴です。

そのため、一度の治療で数年〜半永久的に効果が続くケースも少なくありません。

また、ヒアルロン酸のようにボリュームが急になくなることが少なく、仕上がりの変化もゆるやかで自然。
「頻繁に通院できない」「長期的に効果をキープしたい」「費用対効果を重視したい」
という方には、脂肪注入の方がライフスタイルに合っている可能性があります。

3.自然でやわらかい仕上がり

脂肪注入は、ヒアルロン酸よりも質感がやわらかく、肌の動きに自然になじみやすいのが大きな特長です。
自分の脂肪を使用するため、皮膚の下に注入しても違和感のない滑らかなふくらみが生まれ、
笑ったとき・話したときでも不自然な膨らみが出にくいというメリットがあります。

特に、ほうれい線のように表情筋がよく動く部位では、ヒアルロン酸を注入すると笑ったときに線の上に乗っている感じや固さを感じることがある一方で、脂肪注入ではやわらかく肌になじむため、表情の変化に自然に追従します。

また、肌の下で生きた組織として定着するため、周囲の組織と一体化しやすく、仕上がりも非常にナチュラルです。
このため、「若返りたいけど、不自然な顔にはなりたくない」という方に脂肪注入は特に向いています。

ほうれい線の脂肪注入のリスク・デメリットとは

1.ダウンタイムが比較的長い

脂肪注入によるほうれい線治療では、ヒアルロン酸などの注入剤を直接注射する治療と異なり、まず脂肪を採取する工程（＝脂肪吸引）が必要となります。

多くの場合、脂肪はお腹・太もも・腰まわりなどから適量を採取しますが、この採取部位には以下のようなダウンタイムの症状が見られることがあります。

脂肪の採取部位

・施術直後から2〜5日程度の腫れ・軽度の内出血
・1週間ほど続くこともある筋肉痛のような鈍い痛みや違和感
・圧迫固定を推奨する場合もあり、衣類の締め付けに注意が必要

注入された顔（ほうれい線や頬など）の部位

軽度のむくみや腫れ（2〜7日程度）
注射針による内出血（メイクでカバー可能な範囲）が起こる可能性があります。

これらのダウンタイム症状は個人差がありますが、日常生活に大きな支障が出ることはまれです。
多くの方は、施術の翌日〜2日後には在宅ワークや軽い外出が可能です。

2.脂肪の吸収・定着に個人差がある

脂肪注入では、注入された脂肪のすべてがそのまま残るわけではありません。
一般的に、30〜50％程度は体内に吸収されるとされており、実際に肌に定着してボリュームやふくらみとして持続する脂肪は、半分前後と考えるのが現実的です。

また、この「脂肪の定着率」には以下のような要因で個人差が生じます

・採取した脂肪の質や状態（柔らかさ・粒子の細かさなど）
・注入時の層や深さ、技術的精度（適切な層に均一に注入されているか）
・患者様ご自身の代謝のスピードや血流の良し悪し（冷え性・喫煙なども影響）
・施術後の安静度や圧迫ケアの有無

このように、脂肪注入は効果の出方や定着の仕上がりにある程度の予測不能性があるという点は、事前に理解しておくべきポイントです。

ただし、定着しなかった脂肪は自然に吸収されていくため、不自然な凸凹やしこりになりにくいのも、自家組織を使った治療ならではの利点です。
必要に応じて数ヶ月後に再注入（タッチアップ）を行うことで、理想の仕上がりに近づけることも可能です。

3.過剰注入やしこりのリスク

脂肪注入は、注入の層・量・バランスを慎重に見極めながら行う、非常に繊細な施術です。
これらが適切でない場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

・脂肪を入れすぎてボリュームが不自然になり、膨らみすぎて見える

・脂肪が酸素や栄養をうまく受け取れず、一部が壊死して“しこり”になる（脂肪壊死）

・長期的にカルシウム沈着を起こし、“石灰化”として硬く残ってしまう

特に、脂肪を皮下組織・真皮下・筋膜上など、どの層にどの程度の量で入れるかの判断は、医師の知識と経験、注入技術によって大きく差が出る部分です。

また、ほうれい線周辺は皮膚が薄く・表情筋の動きが多いデリケートな部位のため、深さのコントロールが難しく、未熟な技術で行うと仕上がりが凸凹になりやすい傾向があります。

4.効果が安定するまでに時間がかかる

ほうれい線の治療としてよく知られているヒアルロン酸注射は、施術直後からふくらみやシワの改善効果を感じやすい治療です。
一方で、脂肪注入は“定着”というプロセスを経るため、効果の実感までに時間がかかるという特徴があります。

具体的には、注入された脂肪の一部は体内に吸収され、残った脂肪が生きた組織として血流にのって定着していくのに、通常2〜4週間ほどを要します。

その間、以下のような変化が段階的に起こります。

施術直後：やや腫れた印象（実際よりふっくら見える）

1週間前後：腫れやむくみが落ち着き始め、見た目が自然に

2〜4週間：脂肪の生着が進み、仕上がりのボリューム感が安定

このように、脂肪注入は“施術直後＝完成”ではなく、時間をかけて肌になじんでいく治療です。

そのため、「すぐに完成形を見たい方」よりも、自然で長持ちする若返りを重視したい方に適した施術といえるでしょう。

5. 一部の方には脂肪採取が難しいことも

極端に痩せている方や、脂肪がつきにくい体質の方では、
十分な脂肪が採取できず、施術自体が難しい場合があります。

✔ 脂肪注入が向いている方

ほうれい線が深く、頬のこけ・ボリュームロスが明らかな方

→ 年齢とともに脂肪が減り、皮膚がたるんでシワが目立ってきた方に最も効果的です。

ヒアルロン酸注射では物足りなかった・すぐに元に戻ってしまった経験がある方

→脂肪注入は、定着すれば半永久的に効果が持続するため、繰り返しの注入が難しい方にも◎

1回の施術で長持ちする治療を受けたい方

→数ヶ月〜1年ごとのメンテナンスが必要なヒアルロン酸や成長因子に比べ、維持力が高い治療です。

ナチュラルでやわらかい仕上がりにこだわりたい方

→ 自分の脂肪を使うため、表情の動きにもなじみやすく、不自然なふくらみが出にくいのが魅力です。

脂肪注入以外の注入治療について

脂肪注入にはメリットも多いですが、デメリット・注意点もあります。

当院ではヒアルロン酸や成長因子（グロースファクター）といった注入治療の件数が豊富です。

ほうれい線グロースファクター注射とは

実は元々体内で作られれているたんぱく質のことをグロースファクターと言います。

グロースファクターは、コラーゲンやエラスチンを作る働きをもち、一般的には成人に差し掛かったあたりから急激に減少し、その後年齢を経るにつれてますます減少してしまいます。

皮膚の内側の真皮層に、肌のハリやツヤをだす役割がありますが、そこはコラーゲンやエラスチンによって支えられているので、ここが加齢・紫外線・乾燥によりダメージを受けると、肌の老化が進み、シワ・たるみが進行し、ほうれい線が目立っていきます。

その部分にコラーゲンやエラスチンを正常に組みなおす力のある【グロースファクター】を注入することで、それが栄養素になり自然にふっくらと持ち上げてくれるのです。

ほうれい線グロースファクター治療について

✔グロースファクター注射が向いている方

・少し時間がかかっても持続力を希望している方

→ 成分が肌の奥でじっくりと細胞を再生・活性化していくメカニズムのため、即効性こそ穏やかですが、効果の持続力が非常に高いのが大きな特徴。

・肌質そのものを整えたい、ハリやツヤを取り戻したい方

→ 成長因子が肌細胞を活性化することで、全体的な若返り・美肌効果が期待できます。

・注入後の“ボリュームが出すぎる不自然さ”を避けたい方

→ 自然な変化を求める方に適しており、ふくらみすぎの心配がほとんどありません。

・仕事や外出予定があり、ダウンタイムを取るのが難しい方

→ 内出血や腫れがほとんどなく、施術当日からメイクもOKなので予定の合間に施術も可能です。

・何度も通院したくない方

→肌の内側から若返るため、仕上がりがとても自然何度も注入する必要がなく、通院の負担が少ないのが特徴です。

「すぐに変化が出る施術」よりも、“将来的な肌の美しさ”を重視したい方は、当院のグロースファクター治療をご検討ください。
今だけでなく5年後10年後を見据えた美肌づくりをご提案しています。

グロースファクター注射の症例一覧

ヒアルロン酸注射とは

ヒアルロン酸は元々、私たちの身体の中にある安全な成分です。

保水機能が高く、細胞同士を結ぶ役割もあります。

皮膚の真皮にも含まれ、肌のハリや組織の弾力性をもたらします。

液体でも固体でもないゼリー状の成分ですが、これを加工しゴルゴラインやマリオネットラインといった皺の部分の真下に注入すると、組織がふっくらするのでシワを薄くする効果があります。

注入したヒアルロン酸はヒアルロニダーゼという体内に元からある酵素で自然に吸収され消失していきます。

近年は架橋構造といって、ヒアルロン酸分子同士を橋のように繋げてヒアルロニダーゼによって吸収されにくくして持続力を高めたり、より硬く加工することで鼻や顎を形成したり、より柔らかくして唇や涙袋を形成したりと用途は様々です。

グロースファクターやボトックスにはない最大のメリットとしては効果の即効性です。

また少ない注入量ですと自然な仕上がりになり、注入量を増やすことでより一層満足度が高い仕上がりになります。

注入直後から効果が得られます。他には、仕上がりが気に入らなければヒアルロン酸を溶かすこともできます。

ヒアルロン酸注射について

✔ヒアルロン酸注射が向いてる方

・すぐにほうれい線の変化を実感したい方

→ヒアルロン酸は、注入後すぐに皮膚の下でくぼみを物理的に持ち上げる効果があるため、ほうれい線が目立たなくなる即効性が最大の魅力です。「今すぐ変化を感じたい」「イベント前に仕上げたい」という方にぴったりです。

・ピンポイントでくぼみを改善したい方

ヒアルロン酸は注入する量や位置を細かく調整しやすいため、
「片側だけ深い」「上部だけくぼんでいる」など、左右差や局所的なほうれい線にも対応可能です。

・注入治療が初めてで、まずは試してみたい方

施術時間は約10〜15分、ダウンタイムもほとんどなく、
メイクは施術直後から可能なため、気軽に受けやすい点も特徴。
また、必要に応じてヒアルロニダーゼ（溶解注射）で戻すことができるリバーシブル治療なので、初めての方でも安心です。

・結婚式や撮影など、直近に大切な予定がある方

ヒアルロン酸は施術直後から見た目の変化が出るため、イベント直前でも間に合う数少ない注入治療のひとつです。
1回で整った印象に仕上がるため、短期的な“若見え仕上げ”を希望する方に人気があります。

ヒアルロン酸注射の症例一覧

まとめ

「ほうれい線を目立たなくしたいけれど、どの治療法を選べばいいかわからない」というお悩みをよく耳にします。

実際、ほうれい線治療には脂肪注入・グロースファクター・ヒアルロン酸など、さまざまな注入治療の選択肢があり、それぞれに効果の現れ方や持続性、ダウンタイムなど異なる特徴があります。

✔ 脂肪注入
定着すれば長期効果に期待でき自身の脂肪を使う治療法で、定着すれば半永久的な効果が得られるのが大きな魅力です。
ただし、ほうれい線部分は動きが多いため、脂肪が定着しにくい部位とされ、数回にわたる施術が必要になることもあります。

✔ グロースファクター注入
肌そのものを若返らせる治療成長因子がコラーゲン生成を促進し、肌のハリや弾力を内側から回復させるのがグロースファクターの魅力です。ボリュームを「入れる」治療ではなく、皮膚の土台そのものを整えるため、自然な若返りを希望する方に人気があります。

✔ ヒアルロン酸注入
即効性と仕上がりの微調整が可能です。注入直後からほうれい線の改善が実感できる即効性があり、左右差や細かな溝にも対応可能です。溶解可能なため、初めての注入治療にもおすすめです。

「どの治療が良い」という正解はひとつではなく、お肌の状態やシワの深さ、ご希望の仕上がりやライフスタイルによって、最適な治療法は異なります。当院では、丁寧に診察・カウンセリングを行い、患者様一人ひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。

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