NASOLABIAL FOLDS & FACIAL EXERCISE
ほうれい線を消すために、
顔を鍛えすぎていませんか?
顔トレや表情筋トレーニングそのものを、私はすべて悪いとは考えていません。ただ、ほうれい線を薄くしようとして口元や頬を強く繰り返し動かしている方を見ると、「その動きが折れジワを刻む一因になっているのでは」と感じることがあります。ほうれい線は筋力低下だけで生じるものではありません。まず、自分のほうれい線が何によって目立っているのかを考えることが大切です。
まずお伝えしたいこと
「顔の筋肉も身体と同じように鍛えれば、頬が引き上がってほうれい線も薄くなるのでは?」と考える方は少なくありません。
ただ、私はほうれい線を改善する目的で、口元や頬を強く何度も動かす自己流の顔トレを、すべての方におすすめしているわけではありません。
顔トレは「やればやるほど良い」というものではありません。
ほうれい線の原因は、表情筋だけではありません。皮膚のコラーゲン低下、頬の脂肪、たるみ、骨格、鼻横のくぼみ、そして笑った時に皮膚が折りたたまれる癖など、いくつもの要因が重なっています。
- 顔を動かすこと自体が悪いわけではない
- ただし、強い動きを何度も繰り返す必要はない
- 笑った後に折れジワが残る方は特に注意する
- 無表情でもほうれい線がある場合、筋トレ以外の原因を考える
私が診察でまず見るのは、「この方は顔の筋肉が弱いのか」ではありません。笑った時だけ線が出るのか、笑った後も折れジワが残るのか、無表情でも折れジワがはっきり残っているのか、鼻横の骨格的なくぼみがあるのか、頬の厚みや脂肪量が多いのかという部分です。
ここを見ずに一律に顔トレを続けても、原因そのものが違えば、期待しているような変化が出ないことがあります。
そもそも顔トレは、ほうれい線に効果があるのでしょうか?
顔のトレーニングについては、まったく意味がないと断定することもできません。実際、顔の運動を続けることで、頬のボリューム感などに変化が見られたという小規模な報告もあります。
一方で、顔のトレーニングによって、ほうれい線やシワ、たるみが改善すると結論づけるには、医学的な研究はまだ十分とは言えません。
私の考えは、「顔を動かさない方がよい」ではなく、「ほうれい線を消す目的で強い顔トレを繰り返す必要はない」というものです。
普段あまり表情を使わない方が自然に笑ったり、口元を無理のない範囲で動かしたりすることまで避ける必要はありません。ただし、「1日100回大きく口を動かす」「頬を強く持ち上げる」「皮膚に強い折れ目ができる表情を何度も繰り返す」といった方法は、別に考えた方がよいと思います。
顔の運動に関する医学的な研究自体がまだ限られているため、「このトレーニングなら必ずほうれい線が改善する」と言える方法は、現時点ではありません。
医学的な参考: 2024年のシステマティックレビュー / 顔面運動による若返り効果に関するレビュー / 顔面運動の対照研究
顔トレでシワが目立つことがある理由
身体の筋肉と顔の表情筋には、大きな違いがあります。
身体の骨格筋は、腱を介して骨に付着し、収縮することで関節を動かします。一方、顔の表情筋の多くは、骨や筋膜から始まり皮膚に付着しているため、筋肉が収縮すると、その上にある皮膚も一緒に動きます。
そのため笑ったり、眉を寄せたり、口をすぼめたりすると、その場所に皮膚の折れ目ができます。
若く皮膚に十分なハリがあるうちは、表情を戻せば皮膚も元の状態に戻ります。しかし、加齢や紫外線、乾燥などによって皮膚の弾力が低下してくると、同じ場所に繰り返しついた折れ癖が、やがて無表情でも残る折れジワへと変わっていくことがあります。
額の横ジワ、眉間のシワ、目尻のシワなどが、分かりやすい例です。
実際、こうした筋肉の収縮によってできる表情ジワに対しては、筋肉の動きを弱める ボトックス治療 が使われています。
ほうれい線は額や眉間ほど単純な表情ジワではありませんが、笑った時に同じ場所の皮膚が繰り返し折りたたまれることも、折れジワが刻まれていく要因の一つです。
ほうれい線は「表情筋が弱いから」できるわけではありません
ここは非常に大切です。
ほうれい線を診察していると、原因は一人ひとりかなり違います。同じように見えるほうれい線でも、「顔の筋肉を鍛えれば解決する」という単純なものではありません。
コラーゲンやエラスチンが減り、笑った時にできる折れジワが元に戻りにくくなります。
笑った時に同じ場所が繰り返し折れることで、次第に無表情でも折れジワが残ることがあります。
鼻翼基部周辺の骨格的なくぼみが強いと、筋肉とは関係なく、ほうれい線上の影が深く見えます。
頬の厚みや脂肪量が多い方では、頬と口元の境界に高低差が生じ、ほうれい線が目立つことがあります。
頬の脂肪や軟部組織が下垂し、ほうれい線の上に重なることで段差が生じ、影が強く見えることがあります。
若い頃からほうれい線が目立つ方では、加齢だけではなく、生まれつきの骨格や頬の厚みも関係します。
詳しくは ほうれい線の原因について をご覧ください。
こんな方は、顔トレを一度見直してみてください
私は、患者様が顔トレをしているというだけで「すぐにやめてください」とお伝えするわけではありません。
ただ、診察で次のような状態がある場合には、ほうれい線を改善するための強いトレーニングを続ける必要があるのか、一度考え直した方がよいと思っています。
顔トレを見直した方がよいサイン
- 顔トレを始めてからシワが増えた気がする
- 笑った後に折れジワが以前より残る
- ファンデーションがほうれい線にたまる
- トレーニング後に頬や口元が強く疲れる
- 口をすぼめたり、大きく歪めたりする動作を何十回も繰り返している
- 額・眉間・顎など、別の場所にもシワが増えてきた
- もともと乾燥しやすく、皮膚が薄い
- 無表情でもすでにほうれい線が残っている
特に、笑った後に折れジワが残るようになってきた方は、表情による折れ癖だけでなく、皮膚側のハリ低下も進んでいる可能性があります。
この段階では、「さらに動かして鍛える」という方向より、まず セルフケア や皮膚の状態を見直した方がよい場合があります。
顔トレで使われる主な表情筋
表情筋は、笑う、泣く、怒る、驚くといった日常の表情を作っています。
つまり、「顔の筋肉を鍛える」といっても、一つの筋肉だけが動くわけではありません。
狙った筋肉とは別の場所に力が入っていることもあるため、自己流で動きを強くすればするほど良いとは限りません。
表情筋を強く使うことで目立ちやすいシワ
表情筋の収縮によってできるシワとして、額・眉間・目尻などは非常に分かりやすい場所です。
FOREHEAD
額の横ジワ
前頭筋を強く使う癖がある方で目立ちます。
GLABELLA
眉間のシワ
皺眉筋・鼻根筋の収縮によって生じます。
EYES
目尻のシワ
笑った際の眼輪筋の動きによって目立ちます。
NOSE
バニーライン
鼻周囲の筋肉を強く使う方で見られます。
MOUTH
口まわりの縦ジワ
口をすぼめる動きを繰り返すことで目立つことがあります。
CHIN
顎の梅干しジワ
頤筋を強く収縮させることで生じます。
咬筋が発達してエラが張っている場合には、 エラボトックス を行うことがあります。
このように、美容医療では「筋肉をもっと鍛える」のではなく、逆に筋肉の動きを適度に弱めることで改善する悩みもあります。
自分のほうれい線はどのタイプ?私が診察で見るポイント
顔トレを続けるかどうかを考える前に、一度鏡の前でほうれい線を確認してみてください。
| ほうれい線の見え方 | 考えられる要因 | 考え方 |
|---|---|---|
| 笑った時だけ目立つ | 表情時の皮膚の折れ込み | 自然に笑うことは問題ありません。ただし、同じ場所を強く折り込む顔トレを何度も繰り返す必要はありません。 |
| 笑った後もしばらく折れジワが残る | 表情の折れ癖+皮膚のハリ低下 | 強い顔トレはいったん見直し、紫外線対策や保湿を基本に、必要に応じて皮膚側へ働きかける治療を検討します。 |
| 無表情でも細い折れジワが複数ある | 皮膚のコラーゲン低下・乾燥 | 顔トレよりも、保湿や紫外線対策、肌質改善治療など、皮膚へのアプローチを優先します。 |
| 鼻の横に影や凹みがある | 鼻翼基部周辺の骨格的なくぼみ | 顔トレだけでは形を変えにくく、ヒアルロン酸などで不足したボリュームを補う治療が候補になります。 |
| 頬の重みがあり、深く見える | 頬の脂肪・たるみ | ほうれい線だけでなく、頬全体の厚みや下垂まで確認して治療を考えます。 |
| 若い頃から目立つ | 骨格・頬の厚み・表情の癖など | 筋力不足と決めつけず、まず原因を見極めます。皮膚が薄い方では、強い表情を反復する顔トレは控えめにします。 |
鼻横のくぼみについては 鼻横のほうれい線のくぼみ 、 頬の脂肪については ほうれい線と頬の脂肪との関係 も参考にしてください。
笑った時のほうれい線については こちらの記事 でも詳しく解説しています。
私が診察で実際に感じること
日々患者様を診察していると、「ほうれい線を消したくて、毎日かなり顔トレをしていました」という方がいらっしゃいます。
中には20代や30代の方でも、口元を強く動かす運動を毎日続けていて、笑った時だけではなく、無表情でも折れジワが残るようになっている方がいます。
もちろん、それだけを見て「顔トレが原因です」と断定することはできません。ただ、すでに表情による折れ癖が強い方に、さらに同じ場所を何度も強く折りたたむ動きをおすすめすることに、私はあまりメリットを感じません。
ほうれい線は「筋肉が弱いから」という一つの理由だけで考えず、皮膚・骨格・脂肪・たるみ・表情まで含めて見た方が、結果的に遠回りしにくいと思います。
筋トレでは改善しにくいほうれい線には、何をする?
ここからは美容医療の話になりますが、ほうれい線だから全員に同じ治療を行うわけではありません。
私の場合は、どの部分が原因になっているかによって治療を使い分けています。
EXPRESSION
笑った時の動きが強い
表情による要因が非常に強い方では、症例を選んでボトックスを検討することがあります。
ただし、ほうれい線周辺は笑顔を作る重要な筋肉があるため、誰にでも行う治療ではありません。
SKIN
笑った後も折れジワが残る・無表情でも刻まれている
皮膚のコラーゲン低下が関係している場合、当院ではグロースファクターを中心的な選択肢として考えています。
皮膚の土台に働きかけながら、ほうれい線を自然に改善することを目指します。
SKIN QUALITY
細かい小ジワ・肌質も気になる
スネコス、プルリアルデンシファイ、リジュラン、ビタラン、プロファイロ、ジャルプロスーパーハイドロなど、肌質改善を目的とした注入治療を検討することがあります。
注入治療全体の違いについては、 グロースファクター・ヒアルロン酸・ボトックスの比較 も参考にしてください。
スネコス
スネコスは、非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせた注入治療です。皮膚の保水性やハリの改善を目指し、細かいシワや乾燥感、ハリ不足が気になる場合に、当院でも使用しています。
1回で大きく形を変える治療というより、複数回かけて肌状態を整えていく治療です。
リジュラン・リズネ・ビタラン
ポリヌクレオチド製剤も、皮膚のハリや細かなシワなどを改善したい場合に選択することがあります。
ほうれい線の深い溝そのものを大きく持ち上げる治療というより、小ジワ、ハリ不足、毛穴の目立ちなど、肌質全体を整える目的で使用します。
プルリアルデンシファイ
プルリアルデンシファイは、深い凹みを大きく持ち上げるというより、皮膚のハリや細かいシワ、肌質改善を目的として使用する製剤です。
ほうれい線グロースファクター
笑った時にできる折れジワが無表情でも残るようになり、皮膚にほうれい線が刻まれている方では、当院ではグロースファクターを中心的な選択肢として考えています。
グロースファクターは、皮膚のコラーゲン・エラスチンを増やしながら、時間をかけてほうれい線を改善していく注入治療です。
ヒアルロン酸のように、注入した製剤のボリュームでその場で埋めるのではなく、ご自身の皮膚の再生能力を利用しながら、自然な変化を目指す点が特徴です。
当院では長期経過も確認しており、治療後数年以上経過しても、施術前と比較して良好な状態を保っている方が多くいらっしゃいます。
実際のほうれい線治療症例
文章だけでは分かりにくいため、実際の症例をご覧ください。
無表情でも残る折れジワを治療
表情筋を動かすことだけでは改善しにくい、無表情でも残るほうれい線の折れジワに対して、グロースファクター治療を行った症例です。
本症例の治療内容・経過はこちら →口角まで伸びる、はっきりしたほうれい線
40代女性の患者様です。口角付近まで伸びる、無表情でもはっきりと残るほうれい線に対して、グロースファクター治療を行いました。
本症例の治療内容・経過はこちら →CONSULTATION
顔トレを続けるべきか迷っている方も、
まずは今のほうれい線の原因を確認します。
美容医療を受けると決めてからご相談いただく必要はありません。顔トレを続けてよいのか、セルフケアでよいのか、治療を検討した方がよいのかも含めて、現在の状態を確認します。
セルフケアで大切なのは「鍛えること」より、悪化要因を減らすこと
美容医療を受けない場合でも、できることはあります。
私なら、ほうれい線が気になっている方に対して、まず強い顔トレを追加するより、皮膚への負担を減らすことをおすすめします。
紫外線対策
紫外線は皮膚のコラーゲン低下に関わるため、日焼け止めを継続することは大切です。
強いマッサージを避ける
ほうれい線を消そうとして皮膚を強く引っ張ったり、こすったりする必要はありません。
表情を必要以上に作らない
普通に笑うことを避ける必要はありませんが、トレーニングとして大げさな表情を何十回も繰り返す必要はないと考えています。
セルフケアについては ほうれい線の予防法・セルフケア もご覧ください。
まとめ
ほうれい線を改善するために、顔の表情筋を強く鍛えればよいとは限りません。
顔トレ自体の美容効果については、まだ十分な医学的根拠があるとは言えません。また、顔は身体と違い、筋肉の動きと一緒に皮膚も繰り返し折りたたまれます。
そのため、特に笑った後にも折れジワが残る方や、すでに無表情でも折れジワがはっきり残っている方では、「もっと動かして鍛える」という発想が合わないことがあります。
ただし、ほうれい線の原因は表情だけではありません。皮膚、骨格、頬の脂肪、たるみ、鼻横のくぼみなどを一緒に見る必要があります。
私は、顔トレをするかしないかを決める前に、まずなぜ今このほうれい線が目立っているのかを整理することが一番大切だと思っています。
よくあるご質問
ほうれい線トレーニングは本当に効果がありますか?
顔のトレーニングによって一部の見た目が変化したという小規模な研究はありますが、ほうれい線や顔の老化を改善すると断定できるほど、医学的根拠が確立しているわけではありません。私は、自然に表情を使うことは問題ないと考えていますが、ほうれい線を消す目的で強い動きを何十回も繰り返す方法を、すべての方にはおすすめしていません。
顔トレでほうれい線が悪化することはありますか?
顔トレそのものがほうれい線を悪化させると一律に断定することはできません。ただ、表情筋を強く動かすと皮膚も一緒に折りたたまれるため、笑った後に折れジワが残る方や、すでに無表情でも折れジワが残っている方では、同じ場所を強く繰り返し動かすトレーニングを一度見直した方がよいと考えています。
普通に笑うのも控えた方がいいですか?
いいえ。ほうれい線が気になるからといって、笑わないように生活する必要はありません。日常生活で自然に表情を作ることと、トレーニングとして皮膚が強く折れる動きを何十回も繰り返すことは、分けて考えています。
顔のマッサージならほうれい線に効果がありますか?
一時的にむくみが変化して、すっきり見えることはあります。しかし、骨格的なくぼみや皮膚に刻まれた折れジワそのものが、マッサージだけでなくなるわけではありません。強くこする、引っ張るといったマッサージはおすすめしていません。
笑った後に折れジワが残ります。顔トレはやめた方がいいですか?
少なくとも、ほうれい線部分を強く折り込むようなトレーニングを、さらに増やす必要はないと思います。笑った後にも折れジワが残る場合は、表情の折れ癖だけでなく、皮膚のハリ低下が関係している可能性もあるため、状態を確認したうえで対策を考えるのがおすすめです。
顔トレで改善しない場合、どの治療がよいですか?
原因によって変わります。表情による動きが強い場合はボトックス、皮膚に残る折れジワにはグロースファクター、鼻横のくぼみや深い段差にはヒアルロン酸などが候補になります。たるみや頬の厚みが強い場合は、さらに別のアプローチが必要になることもあります。
OSAKA / TOKYO / NAGOYA
自己流で頑張り続ける前に、
まずはほうれい線の原因を整理しましょう。
「顔トレを続けていいのか分からない」「セルフケアでは限界なのか知りたい」という段階でもご相談いただけます。必要のない治療を無理におすすめすることはありません。












