著者:
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科/東京Houreisenスキンクリニック/名古屋Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会代表 笹川新也 ドクター紹介はこちら
先に結論をお伝えすると、脇汗・手汗・足汗などの局所的な多汗には、ボトックス注射が現実的な選択肢になります。
汗を出す神経の働きを一時的に抑えることで、気になる部位の発汗量を減らす治療です。特に、脇汗で服の色を選んでしまう方、手汗で仕事や日常生活に支障がある方には改善が期待しやすい治療です。一方で、全身の汗が急に増えた場合や体調変化を伴う場合は、まず原因疾患の確認も大切です。
夏になると、汗の量が増えます。
代表的なのが、脇汗です。
脇汗が多いと、グレーの服が着にくい、汗ジミが気になって腕を上げづらい、仕事中に何度も汗を拭いてしまうなど、ファッションや日常生活にまで影響することがあります。
また、手のひらや足の裏の汗の量にも個人差があります。手汗が多い方では、紙が湿る、スマホが操作しづらい、人と手をつなぐのをためらう、といった悩みにつながることもあります。
いわゆる多汗症と呼ばれる状態では、汗の量が多いだけでなく、そのせいで生活の質が下がってしまうことがあります。
さらに、夏場は多汗症とまでは言えない方でも、顔周りの汗や皮脂で化粧が崩れやすくなることがあります。
実は、ボトックス注射は気になる部位の汗の量を減らす治療として使われています。
この記事では、多汗症の原因、汗腺の種類、ボトックスによる汗治療、さらに顔汗や化粧崩れに対するスキンボトックス・水光注射について解説します。
このようなお悩みはありませんか?
- 脇汗が気になって、服の色を選んでしまう
- 汗ジミが気になって人前で腕を上げにくい
- 手汗で紙やスマホが湿ってしまう
- 足汗で靴の中が蒸れやすい
- 夏になると顔汗や皮脂で化粧が崩れやすい
- 制汗剤では限界を感じている
こうした悩みは、単なる「汗っかき」で片づけられないこともあります。
特に生活や仕事に支障が出ている場合は、治療でコントロールできる可能性があります。

目次
多汗症とは
発汗は、体温調整を行うためにとても大切な体の働きです。
暑い時や運動をした時に汗をかくことで、体は熱を逃がそうとします。
ただし、気温や運動量に比べて汗の量が多すぎる場合、または汗のせいで日常生活に支障が出る場合は、多汗症として考えることがあります。
多汗症には、大きく分けて全身性多汗症と局所性多汗症があります。
多汗症の原因
全身性多汗症の原因
全身性多汗症は、体の広い範囲に汗が増える状態です。
主な原因としては、以下のようなものがあります。
- 内分泌疾患
- 循環器疾患
- パーキンソン病
- 悪性腫瘍
- 薬物の副作用
- 特発性(原因がはっきりしないもの)
全身の汗が急に増えた場合や寝汗が強い場合、動悸・体重減少・発熱などを伴う場合は、美容治療だけで考えるのではなく、内科的な確認が必要になることがあります。
局所性多汗症の原因
局所性多汗症は、脇、手のひら、足の裏、顔など、限られた部位に汗が多く出る状態です。
局所性多汗症では、興奮や緊張などの心理的要因が関係している方も多く見られます。
その他、以下のような原因が関係することもあります。
- 特発性(原因がはっきりしないもの)
- 脊椎疾患
- 脳卒中
- 末梢神経障害
- Frey症候群
- エクリン母斑
- 薬物の副作用
実際の診療でも、脇汗や手汗で相談される方の多くは、体調不良というより「その部位だけ汗が多くて困る」というケースです。
このような局所的な汗の悩みでは、ボトックス注射が選択肢になります。
汗腺について
汗腺とは、皮膚から汗を出す組織です。
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺があります。
汗には「汗の量」に関係する汗腺と、「ニオイ」に関係する汗腺があります。
ボトックスが特に効果を発揮するのは、多汗症の原因となるエクリン腺です。

エクリン腺
エクリン腺は全身に分布しており、その数は数百万とも言われています。
多汗症の主な原因となるのは、このエクリン腺です。
エクリン腺から出てくる汗は、基本的には無色無臭で、サラサラとした汗です。
ただし、汗が皮膚表面の雑菌や皮脂と混ざることで、汗のにおいとして気になることがあります。
アポクリン腺
アポクリン腺は、脇、耳、性器、乳輪、肛門など、限られた部位に存在しています。
アポクリン腺から出る汗は白濁していて、ややベタつきがあります。
皮脂や皮膚の常在菌と混ざることで、においが出やすくなります。
腋臭、いわゆるわきがでは、アポクリン腺から出る汗に含まれる成分が皮膚の常在菌に分解されることで、特有のにおいを発します。
汗の量とにおいは、少し分けて考える必要があります
ボトックスは主に汗の量を減らす治療です。汗の量が減ることで、結果的ににおいが気になりにくくなる方もいます。ただし、わきがのようにアポクリン腺が関係するにおいが主な悩みの場合は、汗の量だけでなく、においの原因に合わせた治療を考える必要があります。
局所性多汗症の治療
局所性多汗症を改善する方法には、ボトックス注射、外用薬、イオン導入、マイクロ波照射、手術などがあります。
それぞれに向き不向きがありますが、ここでは当院でも行っているボトックス注射について詳しく解説します。
ボトックスによる多汗症治療
多汗症の原因となるエクリン汗腺は、「アセチルコリン」という神経伝達物質によってコントロールされています。
アセチルコリンは、脳や神経から「汗を出して」という指令を伝える役割をしており、この刺激を受けることでエクリン汗腺から汗が分泌されます。
通常は、暑さを感じた時や緊張した時などに必要な分だけ汗をかきますが、多汗症ではこのアセチルコリンの働きが過剰になり、汗腺が必要以上に反応してしまいます。
その結果、気温や運動量に関係なく大量の汗をかいてしまうことがあります。
多汗症にボトックスが効く理由は、「汗を出せ」という神経の伝達を途中でブロックするためです。
下図をご覧ください。

ボトックスには、このアセチルコリンの働きを抑える作用があります。
汗が気になる部位にボトックスを注射すると、汗を出そうとする神経の伝達が抑えられ、結果として発汗量が減ります。
ボトックスというと、しわ治療のイメージが強い方も多いと思いますが、汗を抑える治療としても使われています。ボトックスそのものについて詳しく知りたい方は、ボトックス治療とは?の記事も参考にしてください。
ボトックスが向いている汗の悩み
ボトックスによる汗治療は、特に以下のような方に向いています。
- 脇汗が多く、服の汗ジミが気になる方
- 制汗剤だけでは十分に汗を抑えられない方
- 手汗で仕事や日常生活に支障がある方
- 足汗で蒸れやすい方
- 夏だけでも汗を抑えたい方
- 手術までは考えていない方
一方で、全身の汗が多い場合や、急に汗が増えた場合は、ボトックスだけで考えるより、まず原因を確認することが大切です。
ボトックスの持続期間
ボトックスの効果持続期間は、個人差や注射する部位によって変わります。
目安として、脇では6〜9カ月程度、手のひらや足の裏では3〜6カ月程度です。
効果は永久ではないため、汗を抑えたい時期に合わせて定期的に注射する形になります。
ボトックスの持続期間や治療間隔について詳しく知りたい方は、ボトックスの持続期間と最適な治療間隔についてもご覧ください。
ボトックス治療の注意点
ボトックスは比較的取り入れやすい治療ですが、注射治療である以上、痛みや内出血、腫れなどが起こることがあります。
脇は比較的受けやすい部位ですが、手のひらや足の裏は痛みを感じやすいため、麻酔を併用した方が痛みを緩和し、治療を受けやすくなります。
また、ボトックスには禁忌にあたる方もいます。
妊娠中・授乳中の方、神経筋疾患がある方、特定のお薬を使用中の方などは注意が必要です。
施術を検討されている方は、事前にボトックスを打ってはいけない人・禁忌についても確認しておくと安心です。
副作用やリスクについては、ボトックス注入療法の副作用・リスクについてで詳しく解説しています。
施術後に気を付けること
ボトックス後は、当日は強いマッサージや長時間の入浴、サウナ、激しい運動、過度な飲酒などは控えていただくことが多いです。
治療効果を安定させるためにも、施術後の過ごし方は大切になってきます。
詳しくは、ボトックス後にサウナ・温泉・運動は大丈夫?の記事も参考にしてください。
顔汗・皮脂・化粧崩れが気になる方へ
ここまでは、脇汗や手汗などの局所的な多汗症について説明しました。
一方で、夏になると「顔汗で化粧が崩れる」「皮脂でテカる」「ファンデーションが浮く」という悩みも増えます。
この場合は、多汗症治療としてのボトックスとは少し考え方が変わります。
顔全体の汗や皮脂、毛穴、肌質をまとめて整えたい場合には、スキンボトックスや水光注射を組み合わせる方法が選択肢になります。
夏になると顔周りの汗で化粧が崩れてしまう原因
1 汗と皮脂の過剰分泌
夏場は汗腺と皮脂腺が活発になり、汗と皮脂の分泌量が増えます。
汗と皮脂が増えると、ファンデーションが浮いたり、よれたり、毛穴落ちしやすくなります。
2 ファンデーションのタイプと塗り方
パウダータイプのファンデーションは、汗や水分で崩れやすくなることがあります。
汗をかきやすい場所に厚く塗ると、かえって崩れ方が目立つこともあります。
3 スキンケア不足や乾燥
意外ですが、乾燥があると、肌が乾燥を防ごうとして皮脂が過剰に分泌されることがあります。
「汗も皮脂も出ているのに、肌の内側は乾いている」という方も少なくありません。
そのため、化粧崩れ対策では、汗や皮脂を抑えるだけでなく、肌の水分量やキメを整えることも大切です。
顔汗・化粧崩れにはスキンボトックス+水光注射も選択肢
夏のファンデーション崩れが気になる方には、当院では水光注射にスキンボトックスを組み合わせる方法をご提案することがあります。
実は「汗を抑えるボトックス」と「化粧崩れや毛穴改善を目的としたスキンボトックス」は、同じボトックス製剤でも打ち方や目的が異なります。
まずは違いを見てみましょう。

スキンボトックスは、筋肉を大きく止める通常のボトックスとは違い、皮膚の浅い層に細かく注入する方法です。
皮脂腺や汗腺の働きを穏やかに抑えることで、テカリや毛穴、汗による化粧崩れを軽減しやすくなります。
さらに、水光注射でヒアルロン酸や肌育製剤を同時に入れることで、ハリ感・ツヤ感・うるおい感も狙えます。
ボトックスによる毛穴治療については、ボトックス施術で毛穴を改善させる治療方法についてでも詳しく解説しています。
当院の水光注射について
水光注射とは、極細の針を使用して、ヒアルロン酸や美肌成分を皮膚の浅い層に細かく均等に注入する治療です。
美容成分としては、ビタミン、アミノ酸、成長因子、肌育製剤などを組み合わせることがあります。
機械打ちで行うため、手打ちよりもムラが少なく、広い範囲に均一に入れやすいのが特徴です。
ちなみに「水光」という言葉は韓国由来で、「水のように潤って光る肌」という意味があるそうです。
当院の水光注射について詳しく知りたい方は、水光注射についてもご覧ください。
水光注射の効果
水光注射は、肌の浅い層に美容成分を直接届ける治療です。
比較的早く肌の変化を感じやすい方もいますが、効果の出方には個人差があります。
①肌の水分量アップによるツヤ感・潤い感の向上
ヒアルロン酸などの保湿成分を皮膚の内側に届けることで、肌がふっくらし、自然なツヤ感が出やすくなります。
②小じわの改善
乾燥や加齢で気になる細かな小じわは、肌の水分量やハリ感が整うことで、目立ちにくくなることがあります。
③ハリの回復、毛穴の引き締め、キメの改善
肌がふっくらと潤うことで、毛穴の目立ち方が変わり、キメの整った印象を目指しやすくなります。
④美白・美肌効果
ビタミンやアミノ酸などの成分を一緒に注入することで、肌を守りながら整える作用や、肌を育てて支える作用が期待できます。
ただし、水光注射は肌質改善を目的とした治療です。
汗の量をしっかり減らしたい場合は、部位や悩みに応じてボトックスの使い方を分けて考える必要があります。
薬剤カスタマイズが可能です
当院では、患者様の肌状態や悩みに合わせて薬剤を選べるように、複数の薬剤を取り揃えています。
「汗を抑えたい」「テカリを減らしたい」「毛穴を引き締めたい」「ハリやツヤも欲しい」など、なりたい肌のイメージに合わせてご提案しています。
①ボトックス+ヒアルロン酸
ヒアルロン酸が肌の内側で水分を保持し、ボトックスが皮脂腺や汗腺の働きを穏やかに抑えます。
そのため、毛穴の引き締まり、テカリにくさ、化粧崩れのしにくさを目指しやすい組み合わせです。
②スネコスパフォルマ
スネコスパフォルマは、ヒアルロン酸と6種類のアミノ酸を組み合わせた肌育製剤です。
肌の土台を整え、キメの整った肌を目指します。
特に目元のクマや小じわに対して、ハリが出ることで影が薄く見えるようになることがあります。
③リズネ
リズネは、ポリヌクレオチド(PN)を主成分とした注入治療です。
肌の自己再生力を高める肌育注射として使われることが多く、特に目元の小じわや肌のハリ低下が気になる方に向いています。
④プルリアルデンシファイ
プルリアルデンシファイは、ヒアルロン酸、PN、マンニトールを配合した肌育製剤です。
肌に潤いを与えながら、ダメージを受けた肌を整え、肌そのものを育てていくような設計になっています。
単なる保湿以上に、肌質そのものを底上げしたい方に向いている製剤です。
すべての製剤にスキンボトックスを組み合わせ可能です
水光注射では、スキンボトックスと患者様の悩みに応じた薬剤を組み合わせることができます。
汗や皮脂が気になる方にはスキンボトックスを、ハリやツヤを出したい方には肌育製剤を、というように組み合わせて考えると、夏場の化粧崩れ対策としても相性がよいです。
「汗を抑えるだけでいいのか」「肌質も一緒に整えた方がよいのか」は、実際の肌状態によって変わります。
汗治療と水光注射は、目的が少し違います
脇汗や手汗のように、汗の量そのものを減らしたい場合は、ボトックスによる多汗症治療が中心になります。
一方で、顔汗、皮脂、毛穴、化粧崩れ、ハリ不足までまとめて気になる場合は、スキンボトックス+水光注射の方が合うことがあります。お悩みの部位と目的で選ぶ治療が変わります。
治療の選び方
| 悩み | 合いやすい治療 | 注意点 |
|---|---|---|
| 脇汗が多い | 脇ボトックス | 効果は永久ではないため、定期的な治療が必要です。 |
| 手汗・足汗が多い | 手のひら・足裏ボトックス | 痛みを感じやすい部位のため、麻酔の相談が必要です。 |
| 顔汗・皮脂・テカリが気になる | スキンボトックス | 表情への影響を避けるため、浅く細かく注入する設計が大切です。 |
| 化粧崩れ、毛穴、ハリ不足も気になる | スキンボトックス+水光注射 | 汗だけでなく肌質も整える目的の治療です。 |
| 全身の汗が急に増えた | まず原因確認 | 内科的な病気や薬の影響がないか確認が必要です。 |
料金プラン
料金については、治療部位や使用量によって異なります。
最新の料金は下記ページをご確認ください。
よくある質問
ボトックスで汗は完全に止まりますか?
完全に汗をゼロにする治療ではありません。
ただし、発汗量を減らすことで、汗ジミや日常生活の不快感がかなり楽になる方は多いです。効果の出方には個人差があります。
脇汗ボトックスは痛いですか?
細い針で複数箇所に注射しますので、チクチクした痛みはあります。
痛みが心配な方には、麻酔の併用をご提案することがあります。
手汗にも効果がありますか?
手汗にも効果が期待できます。
ただし、手のひらは痛みを感じやすい部位です。また、まれに一時的に握力が弱く感じることがありますので、仕事や生活への影響も含めて相談しながら判断します。
顔汗には普通のボトックスと同じ打ち方をしますか?
顔汗や皮脂、毛穴目的の場合は、筋肉をしっかり止める打ち方ではなく、皮膚の浅い層に細かく入れるスキンボトックスとして行うことが多いです。
表情への影響をできるだけ避けながら、汗や皮脂、毛穴を整える目的で設計します。
スキンボトックスと水光注射は一緒にできますか?
はい、組み合わせ可能です。
汗や皮脂を抑えたい方にはスキンボトックス、ハリやツヤ、潤いを出したい方には肌育製剤を組み合わせることで、夏の化粧崩れ対策としても使いやすい治療になります。
まとめ
汗で悩まされている方にとって、ボトックスは比較的取り入れやすい治療の一つです。
特に、脇汗、手汗、足汗のように限られた部位の汗が多い場合は、ボトックスで発汗量を減らせる可能性があります。
一方で、全身の汗が急に増えた場合や体調変化を伴う場合は、まず原因を確認することが大切です。
また、顔汗や皮脂、化粧崩れが気になる方では、通常の多汗症治療とは少し考え方が違います。
スキンボトックスや水光注射を組み合わせることで、汗だけでなく、テカリ、毛穴、ハリ、ツヤまで含めて整えやすくなります。
そのため、「汗を止めたいのか」「肌質も一緒に整えたいのか」によって、自分に合う治療を選びやすくなります。
汗の悩みは、部位と目的によって選択する治療が異なります。
脇汗や手汗を減らしたいのか、顔汗や皮脂による化粧崩れまで整えたいのかで、ボトックスの使い方や水光注射との組み合わせは変わります。
当院では、医師と看護師で、汗の部位、肌状態、生活で困っている内容を確認したうえで、その方に合いやすい治療方法をご提案しています。まずはお気軽にお問い合わせください。












