~ボトックス・スネコス・ビタラン・ヒアルロン酸の正しい使い分け~
著者:
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科/東京Houreisenスキンクリニック/名古屋Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会 医師 齊藤秀明 ドクター紹介はこちら
「額のシワはボトックスで消える」と思っていませんか?
実際に額のシワで来院される患者様の中には、
- すでにボトックスを受けたことがある
- それでも溝が残った
- まぶたが重くなった経験がある
- スネコスやサーモン注射(ポリヌクレオチド製剤)を試したが効果を感じにくかった
という方が少なくありません。
これは治療が間違っているのではなく、額のしわの診断が足りていない可能性があります。
額のシワは2種類ある
額のしわで重要なのは、そのシワの進行段階です。
結論
- 笑った時などの動作でできるシワ
→ボトックスで改善できる
- 無表情でも刻まれたしわ
→ボトックス+スキンブースター(+ヒアルロン酸)で改善できる
表情ジワ(動的ジワ)

眉を上げたときに出る横ジワで、原因は前頭筋の収縮です。
この筋肉は眉を挙上する時、目を大きく開こうとするときや、驚いたとき、無意識に視野を広げようとするときなど、日常生活の中で何度も使われています。
この段階では、
- シワは眉を上げたときにだけ出る
- 表情を戻せば浅くなる
- 皮膚の構造が保たれている
という特徴があります。
つまり、原因が「筋肉の動き」にあるため、その動きを適切にコントロールできれば改善が期待できます。
このような純粋な動的ジワであれば、ボトックス注射単独でも十分改善が可能です。
刻まれジワ(静的ジワ)

刻まれジワとは、表情を作っていなくても残っているシワのことを指します。
鏡を見たとき、
- 眉を上げなくても線が見える
- メイクが溝に入り込む
- 光の当たり方で影になって見える
これは表情ジワと違って、単に筋肉だけが原因なのではありません。
長年にわたり同じ位置で皮膚が折れ曲がることで、
- 真皮のコラーゲン線維が部分的に断裂する
- エラスチンが変性する
- 皮膚そのものが薄く弱くなる
- 脂肪の萎縮や骨の吸収で皮膚自体が余ってしまう
つまり、「折れやすいクセ」が皮膚に記憶されてしまっています。
ですので、このシワは“筋肉の動き”だけでできているのではなく、皮膚の構造変化によって固定化している状態です。
このような静的ジワは、ボトックス注射単独だけでは十分な改善が難しい場合が多いです。
ではどうすれば良いのかというと、ボトックスに加えて、
- スキンブースターで皮膚構造を修復する
- ヒアルロン酸で減ってしまった脂肪や骨の代わりにボリュームを出す
といった治療を組み合わせる必要があります。
→スキンブースターとは(スネコス・ビタラン・プルリアルデンシファイ)
→ヒアルロン酸とは(ボラックス・ボリューマ・ボリフト・ボルベラ・ボライト)
額のシワの原因は4つ

結論
- 筋肉が「折れ目を作る」
- 真皮の劣化が折れ目を「定着させる」
- 脂肪の減少が皮膚を「余らせる」
- 骨の萎縮が全体の「支えを失わせる」
筋肉
額のしわを形成する最大の原因とも言えるのが、筋肉(表情筋)の影響です。
4層構造(筋肉・真皮・脂肪・骨)の中で、筋肉は「しわを物理的に作り出す直接的な力」を担当しています。
①最大の原因は「前頭筋(ぜんとうきん)」
額のしわに関わる筋肉は、前頭筋という大きな筋肉です。この筋肉は、眉毛の上から頭頂部に向かって縦方向に走っています。
- 筋肉の動き: 前頭筋が収縮すると、眉毛を上に引き上げます。
- しわの方向: 筋肉は「縮む方向」と垂直にしわを作ります。前頭筋は縦に縮むため、しわは横方向に入るのが特徴です。
②なぜ前頭筋は動きすぎるのか?
単なる表情のクセだけでなく、無意識に前頭筋を使ってしまう「理由」がいくつかあります。
- 眼瞼下垂(がんけんかすい)や重いまぶた: まぶたを開ける筋肉が弱かったり、まぶたの皮膚が弛んでいたりすると、視界を確保するために「眉毛を上げて目を開こう」とします。この動作が、額にしわを定着させる大きな原因です。
- 視力の問題: よく見ようとして目を凝らしたり、眉をひそめたりする動作も前頭筋を緊張させます。
- 感情の表現: 驚いたり、深く考えたりする際に眉を動かす「表情のクセ」が、長年の蓄積となってしわを刻みます。
③「動くしわ」から「消えないしわ」へ
筋肉の影響によるしわは、最初は動かした時だけ現れる「表情ジワ(動的しわ)」です。
しかし、毎日何千回と同じ場所で筋肉が皮膚を折りたたむと、その下にある真皮層のコラーゲンが物理的に折れてダメージを受けます。
すると、筋肉を動かしていない時でも溝が残る「刻まれたしわ(静的しわ)」へと進化してしまいます。
真皮層
真皮は、表皮のすぐ下にある厚い層で、主に以下の3つの成分で構成されています。
- コラーゲン: 肌の強度を保つ「柱」の役割。
- エラスチン: コラーゲンを束ね、弾力を生む「バネ」の役割。
- ヒアルロン酸: 水分を蓄え、全体をふっくらさせる「クッション」の役割。
額のしわは以下のような真皮の劣化によって定着していきます。
① 「戻る力」の喪失(バネの劣化)
若い頃は、眉を上げて額にシワが寄っても、筋肉を緩めれば真皮のエラスチン(バネ)が働き、すぐに平らな状態に戻ります。
しかし、加齢や紫外線でこのバネが切れたり伸びたりすると、折りたたまれた皮膚を押し戻せなくなり、しわが形として残ってしまいます。
② 「厚み」の減少(柱の劣化)
加齢とともにコラーゲンの産生が減り、真皮そのものが薄くなります。
特に額はもともと皮下脂肪が少なく、真皮も他の部位より薄いため、筋肉の動きによる物理的な圧力がダイレクトに伝わりやすく、深い溝(折れ目)ができやすい環境にあります。
③ 繰り返される「微細な断裂」
毎日繰り返される表情の動きにより、真皮内のコラーゲン線維には微細な断裂が重なっていきます。
これを修復する力が追いつかなくなると、しわが「表情ジワ」から「刻まれたしわ」へと変化します。
また、額は顔の中でも突き出ているため、紫外線を最も浴びやすい部位です。
そして紫外線は真皮のコラーゲンを破壊する酵素を活性化させるため、他の部位より早く真皮の劣化が進んでしまいます。
「真顔になっても額にうっすら線が見える」という状態は、真皮の構造が物理的に壊れ始めているサインです。
脂肪・骨
脂肪(ボリューム)の影響
額には「皮下脂肪」がありますが、これが加齢とともに萎縮(減少)していくことがシワに大きく関わります。
- 「しぼみ」によるシワの強調: 膨らんだ風船は表面がツルツルですが、空気が抜けるとシワが寄ります。額も同じで、脂肪という「中身」が減ることで皮膚に余りが生じ、筋肉を動かした際により深く、大きな折れ目がつきやすくなります。
- 骨っぽさとゴツゴツ感: 脂肪というクッションがなくなると、下の骨の凹凸が目立つようになります。特に額の中央やこめかみが痩せると、そこに影ができ、横シワが単なる線ではなく「深い溝」のように強調されてしまいます。
骨(骨格)の影響
意外かもしれませんが、顔の骨も加齢で少しずつ痩せて(吸収されて)いきます。 これがシワ・たるみの根本的な原因の一つです。
- 土台の「沈み込み」: 額の骨(前頭骨)は加齢とともに平らになり、後ろへ後退するような変化を見せます。土台である骨が小さくなることで、その上に乗っている筋肉や皮膚を支えきれなくなり、重力に従って下垂し、シワをさらに強調することがあります。
各治療の作用
結論
- ボトックスは過剰な筋肉の収縮を抑える
- スネコス・ビタラン(ポリヌクレオチド製剤)は、肌の衰えたコラーゲンやエラスチンを修復する
- ヒアルロン酸は加齢により減少した脂肪や骨などによるボリューム不足を改善する
ボトックス

ボトックスの主成分は、ボツリヌス菌から抽出された「タンパク質」です。
このタンパク質は筋肉の収縮を和らげる作用があり、注射を行うことで、筋肉由来のシワを取り、痩身、また過剰な汗を減少させるなど、様々な効果をもたらすので、大変人気のある施術の一つです。
①表情ジワの改善
額、眉間、目尻などの表情ジワは、筋肉の収縮によって生じます。ボトックス注射は、これらの筋肉の動きを抑制することで、シワを目立たなくする効果があります。
②小顔効果
エラの張りの原因となる咬筋(こうきん)にボトックスを注入することで、筋肉のボリュームを減少させ、フェイスラインをシャープにする効果が期待できます。
③多汗症の改善
脇、手のひら、足の裏などの多汗症に対して、ボトックス注射は発汗を抑制する効果があります。
注意点: 額の外側まで打ちすぎたり、量が多いと「まぶたが重い」「眉が下がる」といった違和感が出やすいため、注入量と位置の微調整が必要な施術です。
スネコス・ビタラン

- スネコス
肌のハリを支える線維芽細胞は、周囲にある「細胞外マトリックス(ECM)」というクッションのような足場にしっかりつかまることで、初めて元気に働くことができます。 しかし、加齢によってこの足場が壊れてしまうと、細胞はつかまる場所を失い、コラーゲンを作る意欲をなくして「休眠状態」に陥ります。
スネコスは、「6種のアミノ酸」と「特殊なヒアルロン酸」を黄金比で配合した、細胞の環境そのものを再構築する「肌育(はだいく)」注入剤です。
- ビタラン(ポリヌクレオチ製剤)
肌のハリを支える「線維芽細胞(せんいがいさいぼう)」という細胞は、加齢やダメージによっていわば「休眠状態」に入ってしまいます。また、肌の内部では目に見えない「微細な炎症」が続き、せっかく作ったコラーゲンを壊してしまう悪循環が起きています。
ビタランは、サーモン由来の成分「ポリヌクレオチド(PN)」を主成分とした、細胞の修復と炎症の鎮静を同時に行う「肌育(はだいく)」注入剤です。
①肌質改善
顔全体、目元・目の下、デコルテ、首など様々な部位の皮膚の肌質改善が可能です。
コラーゲンやエラスチンの劣化を改善し、加齢によって失われた肌のハリ・ツヤを取り戻す効果が期待できます。
②額、眉間、目元などのしわの改善
自己回復力を高め、皮膚が本来持つ再生力を改善することで、しわを改善します。
額・目元・口元・首など、皮膚の薄い部位のしわ改善にも効果的です。
③目の下のクマ改善
目の下の「青クマ」、「影クマ」に有効とされています。
「青クマ」の治療として肌自体を自然に再生させることで、血管などが透けにくい肌状態を作ります。
「影クマ」は皮膚のハリを失たことで起こるたるみが原因で生じる影ですが、肌のハリや弾力を回復させることから「影クマ」にも効果が期待できます。
ヒアルロン酸

ヒアルロン酸は、もともと私たちの体内(皮膚、関節、眼球など)に存在する糖の一種です。
若い頃の顔がふっくらとハリがあるのは、丈夫な「骨」という土台と、パンパンに詰まった「脂肪」というクッションがあるからです。 30代を過ぎると、実は顔の骨自体が少しずつ縮んで痩せ、クッション(脂肪)も減って下へ移動してしまいます。これが「たるみ」や「コケ」の正体です。
ヒアルロン酸は、この減ってしまった「骨」や「脂肪」の代わりにクッションの役割を務めてくれます。
① 額の「土台」を再構築する
額のヒアルロン酸注入は、単に溝を埋めるためのものではありません。
加齢によって平坦になった前頭骨(おでこの骨)や、薄くなった皮下脂肪のボリュームを補う「代用組織」としての役割を果たします。
土台がしっかりすることで、余っていた皮膚がピンと張り、結果として刻まれた横シワが目立たなくなります。
② 理想的な「丸み」と「若々しさ」の再現
女性らしい柔らかな額のカーブは、若々しさの象徴です。
ヒアルロン酸で額の形を整えることで、シワの改善と同時に、光をきれいに反射する「ツヤのある額」を作ることが可能です。
あなたのシワに「本当に必要な治療」の選び方
額のシワ治療で後悔しないためには、自分のシワがどの段階にあるかを見極める「診断」が重要です。
医師の視点からは、以下の組み合わせを推奨します。
表情を作った時だけシワが出る方

推奨治療:ボトックス単独
理由: 最大の原因が筋肉の動きにあるため、ボトックスで前頭筋の過剰な動きを抑えることで、額にしわが寄りにくくなります
真顔でもうっすら線(刻まれジワ)がある方

推奨治療:ボトックス + スキンブースター(スネコス・ビタラン等)
理由: 筋肉の動きを止めつつ、スキンブースターで「折れ曲がって傷ついた真皮層」を修復(肌育)します。自分自身のコラーゲンを再生させることで、自然な厚みを取り戻します。
額がゴツゴツし、深い溝や凹みがある方

推奨治療:ボトックス + ヒアルロン酸(+ 必要に応じてスキンブースター)
理由: 骨や脂肪の減少(ボリュームロス)が激しいため、ヒアルロン酸で土台から持ち上げる必要があります。その上で表面の質感を整える治療を組み合わせるのが、最も効果的な若返り効果を生みます。
後悔しないために
「額のシワ=ボトックス」という一辺倒な治療では、まぶたが重くなったり、期待していたほど改善しなかったり、治療による満足度が下がってしまうことがあります。
額のシワは、「筋肉・真皮・脂肪・骨」という4つの層で起きている変化の積み重ねです。
当院では、患者様お一人おひとりのシワの原因を解剖学的に分析し、最適な製剤と層へのアプローチをご提案します。
「シワを消す」だけでなく、「シワになりにくい健康的な肌」を一緒に作っていきましょう。











