ヒアルロン酸は、種類によって硬さやなじみやすさ、持続期間が異なります。顎の形を整えるときには硬めの製剤、唇や涙袋には柔らかい製剤を使うなど、注入する部位に合わせて選びます。
この記事では、当院で採用しているアラガン社のジュビダームビスタシリーズの代表的な5種類を比較し、当院での使い分けを症例とともにご紹介します。また、数あるヒアルロン酸製剤の中から、当院がアラガン社の製剤を採用している理由についても説明します。
ヒアルロン酸の種類を比較|硬さ・持続期間・用途
まずは、5種類の違いを一覧で確認してみましょう。
| 製剤名 | 硬さの目安 | 主な使用部位・目的 | 持続期間の目安 |
|---|---|---|---|
| ボラックスXC | 硬い | 顎・フェイスラインの輪郭形成 | 約18か月1 |
| ボリューマXC | やや硬い | 頬・こめかみのくぼみ、深い層のボリューム補正 | 約18〜24か月2 |
| ボリフトXC | ボリューマより柔らかい | ほうれい線・マリオネットラインの溝 | 約12〜18か月3 |
| ボルベラXC | 柔らかい | 唇・涙袋・目の下のくぼみ | 約12か月4 |
| ボライトXC肌質改善用 | とても柔らかい | 肌の保水性・小じわ・キメの改善 | 保水性:約9か月5 |
硬さは製剤の特徴を理解するための目安です。持続期間は注入部位や量によって異なり、臨床研究でも対象部位・評価項目が異なります。ボライトの9か月は保水性のデータで、肌のなめらかさの改善は約6か月と報告されています。
当院の輪郭形成やくぼみの治療では、主にボラックス・ボリューマ・ボリフト・ボルベラの4製剤を使用しています。ボライトは、これらとは目的の異なる肌質改善用の製剤として比較に掲載しています。
5種類の特徴と当院の使い分け

ボラックスXC|顎・フェイスラインの形を整える

ボラックスXCは、ジュビダームビスタシリーズの中でも硬く、形を保ちやすい製剤です。顎先を前に出したり、フェイスラインの輪郭をはっきりさせたりする治療に使います。
顎の形成にはボリューマXCを使用することもありますが、よりしっかりと形を保ちたい場合にはボラックスXCを選択します。
当院では、顎先の形だけでなく、骨格や筋肉・脂肪のつき方、お顔全体とのバランスを確認し、注入する位置と量を決めています。

ボリューマXC|頬・こめかみのボリュームを補う

ボリューマXCは、ボラックスより少し柔らかく、頬やこめかみのくぼみを改善するのに適した製剤です。ゴルゴラインや、深い層のボリューム不足にも使用します。
ふくらみを保つ弾力と、ゲルとしてのまとまりがあり、頬の立体感を出す治療に使います。
頬の影は、ボリューム不足によるくぼみだけでなく、脂肪のたるみによって生じることもあります。当院では、くぼんだ部分とたるんだ部分を確認し、ヒアルロン酸を注入する範囲を決めています。
下の写真は、頬のコケ・くぼみによって、顔がやつれて見えることがお悩みだった方です。ボリューマXCで頬のボリュームを補い、影を目立ちにくくしています。

この症例の治療内容・経過
ボリフトXC|ほうれい線・マリオネットラインの溝になじませる

ボリフトXCは、ボリューマより柔らかく、周囲の組織になじみやすい製剤です。ほうれい線やマリオネットラインなど、溝を自然に浅くしたいときに使用します。
ほうれい線では、深い部分をボリューマXCで補い、浅い部分をボリフトXCでなじませるように、注入する層に合わせて組み合わせることもあります。
当院では、溝の深さに加え、骨格や頬のボリューム、皮膚のハリを診察し、どの部分に、どの深さで注入するかを決めています。

一方、笑った後にも折れジワが残る方や、皮膚のハリ低下・頬のたるみが強い方では、ヒアルロン酸で溝を埋める方法だけでは改善が難しいこともあります。
当院では、皮膚のハリ低下にはグロースファクター、たるみの引き締めや引き上げにはHIFUや糸リフトなども検討します。くぼみとたるみを分けて診察し、ヒアルロン酸を増やす以外の方法も含めてご提案しています。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入について / ヒアルロン酸とグロースファクターの違い
ボルベラXC|唇・涙袋などに自然なふくらみを出す

ボルベラXCは柔らかく、唇や涙袋、目の下のくぼみなどに使用する製剤です。なじみやすさを生かし、唇のふくらみや輪郭、涙袋の立体感などを調整します。
唇や涙袋は少量でも印象が大きく変わります。当院では、お顔全体とのバランスを見ながら、必要以上に大きくしないように注入しています。
下の写真は、唇とキューピットボウ(上唇の中央の山)に、ボルベラを1本(1cc)注入した方です。

唇ヒアルロン酸の効果・ダウンタイム
ボライトXC|ボリューム補正ではなく、肌質改善用
ボライトXCは、肌の保水性やキメ、小じわの改善を目的とする、とても柔らかいヒアルロン酸製剤です。顎の形を作ったり、深いほうれい線のくぼみを埋めたりする製剤とは、用途が異なります。
肌質改善が目的であっても、ヒアルロン酸製剤であるボライトには血流障害のリスクがあるため、当院では製剤選びの際にこの点も考慮しています。
当院では現在、肌質改善にはボライトXCよりも、スネコス、ジャルプロ、ビタラン(リジュラン)、プルリアルデンシファイ、水光注射などを選ぶことが多くなっています。
部位別に見る、ヒアルロン酸の選び方
| 部位・目的 | 主な製剤 | 選ぶときに確認すること |
|---|---|---|
| ほうれい線 | ボリューマXC ボリフトXC | 深い層のくぼみにはボリューマ、浅い溝にはボリフト。溝の深さに加え、頬のボリュームや皮膚のハリを確認します。 |
| 顎・フェイスライン | ボラックスXC ボリューマXC | 形をしっかり保ちたい場合はボラックス。骨格・筋肉・脂肪のつき方を見ながら、位置と量を調整します。 |
| 頬・こめかみ | ボリューマXC | ボリューム不足によるくぼみを改善。脂肪のたるみによる影と区別し、注入する範囲を決めます。 |
| 唇 | ボルベラXC | 柔らかさとなじみやすさを生かし、ふくらみと輪郭を調整します。顔全体とのバランスを見て量を決めます。 |
| 涙袋 | ボルベラXC | 柔らかい製剤で立体感を出します。少量でも印象が変わるため、希望する形と顔全体のバランスを確認します。 |
| 目の下のくぼみ | ボルベラXC | くぼみの位置や皮膚の厚み、頬とのつながりを確認します。ふくらみやたるみが主な原因の場合は、他の治療も検討します。 |
| 肌質改善・小じわ | ボライトXC(参考) | 輪郭形成とは用途が異なります。当院では肌質改善に、肌育注射や水光注射を選ぶことが多くなっています。 |
ヒアルロン酸の濃度と製剤の違い
製剤の性質は、ヒアルロン酸の濃度だけでなく、分子同士のつながり方(架橋)によっても変わります。弾力はふくらみを保つ性質、凝集性はゲルとしてまとまる性質を表し、注入する層や周囲の組織とともに仕上がりに関係します。
| 製剤 | 濃度 |
|---|---|
| ボラックスXC | 25mg/mL |
| ボリューマXC | 20mg/mL |
| ボリフトXC | 17.5mg/mL |
| ボルベラXC | 15mg/mL |
| ボライトXC | 12mg/mL |
当院がアラガン製のヒアルロン酸を使用する理由
当院では、日本の厚生労働省で承認を取得しているジュビダームビスタシリーズを採用しています。
顔に注入する医療材料だからこそ、価格だけではなく、品質管理・臨床データ・国内外での使用実績を重視しています。
当院がヒアルロン酸製剤を選ぶときに確認しているのは、次の点です。
- 厚生労働省の承認を取得しているか
- 国内外での使用実績や臨床データがあるか
- 硬さ・なじみやすさ・持続期間などの特徴を把握できるか
- 部位や注入する層に応じて使い分けられるか
- 自然な仕上がりを設計しやすいか
- 必要に応じて、溶解などの対応を検討できるか
製剤だけでなく、注入する層と量も調整します
同じ部位への注入でも、形を作りたいのか、くぼみを改善させたいのかによって選ぶ製剤は変わります。製剤名だけでなく、注入する深さと量も含めて治療を計画しています。
頬や口元は、注入しすぎると不自然にふくらみ、顔全体が重く見えることがあります。当院では、気になる溝をすべて埋めようとするのではなく、お顔全体のバランスを見ながら、必要な部位に必要な量を注入しています。
ヒアルロン酸注入の料金・リスク
| 使用本数 | 料金 |
|---|---|
| 1本 | 77,000円 |
| 2本目以降・1本あたり | 69,800円 |
対象製剤は、ボラックスXC・ボリューマXC・ボリフトXC・ボルベラXCです。2本使用する場合の合計は146,800円です。
料金には、診察・カウンセリング・注射針・麻酔・施術・アフターフォローが含まれます。最新の料金表もご確認ください。
主なリスク・副作用
腫れ、内出血、痛み、左右差、しこり、凹凸、感染、アレルギー反応など。まれに、血流障害が生じることがあります。強い痛み、皮膚の色の異常、見えにくさなどが出た場合は、すぐに施術したクリニックへ連絡し、速やかに診察を受けてください。
掲載写真は個別の症例で、効果には個人差があります。施術直後の写真には腫れの影響も含まれます。
ヒアルロン酸の種類選びでよくある質問
長持ちする種類を選べばよいですか?
持続期間だけでは選びません。例えば、顎の形を作る硬い製剤が、そのまま唇にも適しているわけではありません。まず注入する部位と目的に合う製剤を選び、そのうえで持続期間を確認します。
ボリューマとボリフトは、どう使い分けますか?
ボリューマは深い層のボリュームを補うときに、ボリフトはほうれい線などの溝を周囲になじませたいときに使います。深さの異なるくぼみが重なる場合には、両方を組み合わせることもあります。
韓国製とアラガン製のヒアルロン酸は何が違いますか?
国内承認の有無、臨床データ、硬さやなじみやすさなど、製品ごとに違いがあります。
不自然にふくらんでしまうことはありますか?
はい。製剤や注入する位置・量が合っていないと、ふくらみや凹凸が目立つことがあります。特に頬やほうれい線は、気になる溝をすべて埋めようとすると、顔が重く見えることもあります。ヒアルロン酸の入れすぎについてもご覧ください。
当院では不自然に見えないように、今のお悩みに対してどの製剤をどの位置で、どの深さで、どれぐらいの量入れるかをこだわって設計します。
注入したヒアルロン酸は溶かせますか?
はい。必要に応じて、ヒアルロニダーゼによる溶解が可能です。溶解治療にもアレルギーなどのリスクがあるため、状態を診察してから行います。ヒアルロニダーゼによる溶解治療
受診前に種類を決めておく必要はありますか?
決めずにご相談いただけます。「頬のこけを補いたい」「唇を自然にふっくらさせたい」など、ご希望をお聞かせください。診察でくぼみの深さや皮膚の状態を確認し、製剤と必要な本数をご案内します。
自分に合うヒアルロン酸を相談したい方へ
「ほうれい線を浅くしたい」「頬のこけを補いたい」「顎の形を整えたい」。同じヒアルロン酸注入でも、お悩みによって適した製剤や本数は変わります。
当院では、ご希望を伺いながら、製剤・注入部位・必要な量・費用をご説明しています。ヒアルロン酸で改善できるか迷われている方も、お気軽にご相談ください。
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