著者:
ほうれい線・シワ治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科/東京Houreisenスキンクリニック/名古屋Houreisenスキンクリニック
医療法人新月会代表 笹川新也 ドクター紹介はこちら
「額や眉間にボトックスを打つと、まぶたが下がって重たくなると聞いて不安です」
日々の診療でも、額ボトックスを希望される方からよくご相談いただく内容です。
先に結論をお伝えすると、額や眉間のボトックスでまぶたが重くなることはあります。
特に、もともと眼瞼下垂ぎみの方、まぶたの皮膚がかぶっている方、普段から額の筋肉を使って目を開けている方は注意が必要です。ただし、適切に診察して注入量や注入位置を調整すれば、リスクを下げながら治療できるケースも多くあります。
特に額ボトックスに関しては、まぶたが重くなることはそこまで珍しいリスクではありません。
仮にそのようなことが起こっても、ボトックスの効果が弱くなるにつれて自然に改善していくことが多いです。
ただ、まぶたが重たくなると見た目だけでなく、目の開けにくさや疲れやすさにもつながるため、QOLに関わってきます。
ここでは、ボトックスでなぜまぶたが下がるのか、もともとまぶたが重たくなりやすい原因、予防方法、起きてしまった時の対応、そして額のしわに対するボトックス以外の選択肢について解説します。
このような方は、額ボトックスを受ける前に一度相談することをおすすめします
- 普段からおでこに力を入れて目を開けている
- 眉毛を上げる癖がある
- まぶたが重く、夕方になると目が開けにくい
- 額のしわは気になるが、目が小さく見えるのは避けたい
- 過去に額ボトックスでまぶたが重くなったことがある
額のしわだけを見るのではなく、「なぜ額にしわが出ているのか」を見極めることが大切です。
額のボトックスでまぶたが下がる場合
原因
もともと眼瞼下垂やまぶたのたるみがある方は、目を開ける力が弱くなっていたり、まぶたの皮膚がかぶっていたりします。
そのため、無意識に額の筋肉である前頭筋を使って、眉毛を上げながら目を開けていることがあります。
額の筋肉を使えば、眉毛が上がり、まぶたも開けやすくなります。
しかし、その代わりに額に横じわが寄りやすくなります。
そうすると、今度は額のしわが気になり、ボトックスを打ちたくなります。
ボトックスが効くと、額のしわは改善しやすくなります。しかし、同時に額の筋肉の力が弱くなるため、これまで額の力で支えていたまぶたを支えにくくなります。
その結果、まぶたが重くなった、目が開けにくくなった、眠そうに見えるようになった、と感じることがあります。
健常な方でも、ボトックスの量が多すぎたり、眉に近い位置へ注入しすぎたりすると、眉毛下垂が起こり、まぶたが重たくなることがあります。

額ボトックスそのものについて詳しく知りたい方は、ボトックス治療とは?の記事も参考にしてください。
額のしわは、すべてボトックスで消せるわけではありません
額のしわには、大きく分けると「表情で動いた時に出るしわ」と「皮膚に刻まれて残っているしわ」があります。
ボトックスが得意なのは、筋肉の動きによってできる表情じわです。
一方で、すでに皮膚に線として刻まれているしわや、皮膚のハリ低下が背景にあるしわでは、ボトックスだけでは物足りないことがあります。
また、まぶたが重くなりやすい方に無理に額ボトックスを効かせすぎると、しわは浅くなっても目元が重く見えることがあります。
このような場合は、ボトックスの量を減らすだけでなく、別の方法を組み合わせて考える方が良い場合があります。
おでこのしわが気になる方には、ヒアルロン酸も選択肢になります
おでこのしわが気になる方には、ヒアルロン酸も選択肢になります。
特に、額の筋肉を完全に止めるとまぶたが重くなりやすい方や、すでに額の皮膚に浅い線が刻まれている方では、ボトックスだけで対応しようとすると限界が出ることがあります。
ヒアルロン酸は、筋肉の動きを止める治療ではなく、皮膚や浅い凹みを整える目的で行う治療です。
そのため、額のしわを完全に動かさないようにするというより、皮膚表面の細かいしわや質感を自然に整えたい方に向いています。
額のしわ治療は、原因で選ぶことが大切です
| 状態 | おすすめの治療 | 注意点 |
|---|---|---|
| 表情を動かした時だけ額にしわが出る | ボトックス | まぶたが重くなりやすい方は量と位置の調整が必要です |
| 無表情でも浅い線が残っている | ヒアルロン酸 | 深い表情じわを止める治療ではありません |
| 額の力で目を開けている | 少量ボトックス、または他治療を検討 | ボトックスを効かせすぎるとまぶたが重くなることがあります |
| 眼瞼下垂やまぶたのたるみが強い | 原因治療を優先 | 額のしわだけを治療しても根本解決にならないことがあります |
ヒアルロン酸治療について全体像を知りたい方は、ヒアルロン酸注射についての記事も参考になります。
また、しわの種類ごとの考え方は、5種類のしわについて原因と治療方法を解説の記事でも詳しくまとめています。
治療法
ボトックスでまぶたが重たくなった場合、残念ながらすぐに確実に戻す治療方法はありません。
よく行われる対応としては、以下のようなものがあります。
- ボトックスは熱に弱い特性があるため、患部を温めたり軽くマッサージをする
- ボトックス拮抗薬としてアセチルコリン製剤を注射する
ただし、これらの効果は不確実です。
ボトックスの効果が弱くなってくると自然に改善していくため、我慢できる程度であれば、1ヶ月ほど経過をみると少しずつ改善してくることが多いです。
ボトックス後の過ごし方については、ボトックスは熱に弱い?施術後に控えることの記事も参考にしてください。
眉毛を下げる筋肉にボトックスを注入することで少し改善する場合もあります
眼輪筋や鼻根筋など、眉を下げる方向に働く筋肉へボトックスを注入することで、少し改善する場合もあります。
「ボトックスを打ってまぶたが重たくなったのに、さらにボトックスを打って大丈夫ですか?」と思われるかもしれません。
これは、眉を上げる筋肉ではなく、眉を下げる筋肉の働きを弱めることで、眉の位置のバランスを整える考え方です。
ただし、全員に有効な方法ではありません。状態を見ずに追加でボトックスを打つと、かえってバランスが悪くなることもあります。
予防方法
ボトックス注入量を減らす
もともとまぶたが重たい方は、額のボトックスを行う際に注入量を少なめにすることで、リスクを軽減できる場合があります。
ただし、注入量を減らすと、額のしわ改善効果も弱くなります。
ここは非常に大事なところで、「しわを完全に消すこと」を優先するのか、「まぶたの重さを出さないこと」を優先するのかで、治療設計が変わります。
ボトックス注入部位をおでこの上の方にする
額のボトックスでは、おでこの下の方、つまり眉に近いところにボトックスが効くと、眉毛下垂が起こりやすくなります。
そのため、眉から遠い位置、つまりおでこの上の方を中心に注入することで、まぶたが重たくなるリスクを下げられることがあります。
その代わり、おでこの下の方に出る表情じわは改善しにくくなります。
最初から効かせすぎない
額ボトックスで大切なのは、最初から強く効かせすぎないことです。
特に初めての方や、過去にまぶたが重くなった経験がある方では、少なめに入れて反応を見る方が安全です。
ボトックスは追加することはできますが、効きすぎたものをすぐに完全に戻すことは難しいためです。
持続期間や治療間隔については、ボトックスの持続期間と最適な治療間隔も参考にしてください。
原因となる疾患の治療をする
もともと眼瞼下垂やまぶたのたるみがあり、それが原因で額にしわが目立っている場合は、先にそちらの治療を考えた方がよいことがあります。
まぶたを開けるのが楽になると、額の筋肉を使う必要が減り、結果的に額のしわが軽くなることもあります。
この場合、額のしわだけを見てボトックスを打つと、原因に合っていない治療になることがあります。
眉間のボトックスでまぶたが下がる場合
原因
眉間のボトックスは、額のボトックスほど頻度は高くありませんが、まれにまぶたが下がることがあります。
眉間ボトックスでは、主に皺眉筋という筋肉を狙ってボトックス注射を行います。
しかし、薬剤が下の方に広がり、目を開けるための上眼瞼挙筋に影響すると、まぶたを開けにくくなることがあります。
この場合は、眉毛が下がるというより、まぶたそのものが開きにくくなるイメージです。
治療方法
眉間ボトックスでまぶたが重たくなった場合も、すぐに確実に戻す方法はありません。
- 患部を温めたり、軽くマッサージする
- ボトックス拮抗薬としてアセチルコリン製剤を注射する
といった対応が検討されることがありますが、効果は不確実です。
基本的には、ボトックスの効果が弱くなるのを待つことで、徐々に改善していくことが多いです。
眉毛を下げる筋肉にボトックスを注入することで少し改善する場合もあります
眼輪筋や鼻根筋などにボトックスを注入することで、眉の位置のバランスが整い、少し改善する場合もあります。
ただし、眉間ボトックスによる眼瞼下垂では、薬剤が上眼瞼挙筋に影響しているケースもあるため、追加注入で必ず改善するわけではありません。
状態によって対応が変わるため、自己判断で追加注入を受けるより、まずは診察で原因を確認することが大切です。
予防方法
ボトックス注入量を減らす
注入量を少なめにすることで、狙った筋肉以外に薬剤が広がるリスクを下げられることがあります。
ただし、眉間のしわ改善効果は弱くなる場合があります。
注入位置を正確に見極める
眉間ボトックスでは、筋肉の位置、しわの深さ、眉の動き方を見ながら注入することが大切です。
同じ眉間のしわでも、眉を寄せる癖が強い方、鼻根部までしわが入る方、まぶたが重い方では、注入設計が変わります。
ボトックスの副作用全般については、ボトックス注入療法の副作用・リスクについてでも詳しく解説しています。
ボトックス以外でまぶたが下がる場合に考えられる原因は?
ボトックスを打った後にまぶたが重くなる方の中には、もともとまぶたが下がりやすい状態が背景にあることがあります。
つまり、ボトックスが原因でゼロから問題が起きたというより、もともとあったまぶたの重さが、額の筋肉の力を弱めたことで表面化することがあります。
眼瞼下垂
眼瞼下垂とは、まぶたを開けるための腱膜・筋肉・神経などに何らかの異常があり、まぶたをうまく開けられない状態です。
まっすぐ前を向いた時に黒目が隠れてしまったり、目を開けるために額に力が入りやすくなったりします。
多いケースは、加齢によって腱膜がゆるんでしまうタイプです。
眼瞼下垂がある方は、額の筋肉を使って目を開けていることが多いため、額ボトックスでまぶたが重くなりやすい傾向があります。
眉毛下垂
眉毛下垂とは、加齢や紫外線の影響などで額の皮膚や組織がたるみ、眉毛が下がってくる状態です。
眼瞼下垂と似て見えることがありますが、眼瞼下垂と異なり、まぶたを開ける筋肉や腱に問題があるわけではありません。
眉毛が下がることでまぶたの皮膚がかぶり、目が重く見えることがあります。
眼瞼皮膚弛緩症
眼瞼皮膚弛緩とは、まぶたの皮膚のたるみです。
加齢とともにまぶたの皮膚が余り、まつ毛にかぶさることで視野が狭くなったり、目が重く見えたりします。
特に目尻側の皮膚が多く余るため、外側のかぶさりが目立つ方も多いです。
これも眼瞼下垂と間違えられることがありますが、まぶたを開ける筋肉や腱には問題がないケースもあります。
額ボトックスが向いている方・慎重に考えた方がよい方
額ボトックスが向いている方
- 表情を動かした時に額の横じわが出る
- まぶたの重さがあまりない
- 目を開ける時に額の力をあまり使っていない
- 自然に少しでもしわを減らしたい
- 完全に動かなくするより、表情を残した治療を希望している
慎重に考えた方がよい方
- 普段から眉毛を上げて目を開けている
- まぶたが重い、眠そうに見えると言われる
- 過去に額ボトックスでまぶたが重くなった
- 額のしわが無表情でも刻まれている
- ボトックスでしわを完全に消したいと思っている
慎重に考えた方がよい方でも、必ずボトックスができないというわけではありません。
ただし、量を減らす、注入位置を上にする、ヒアルロン酸など別の選択肢を検討する、といった工夫が必要になることがあります。
当院での考え方
当院では、額や眉間のしわ治療を行う際に、しわだけを見て注入するのではなく、まぶたの開き方、眉の位置、額の筋肉の使い方を確認します。
額のしわが気になるからといって、全員に同じようにボトックスを打つわけではありません。
特に、目を開けるために額を使っている方では、しわを減らすことだけを優先すると、まぶたが重くなってしまうことがあります。
逆に、表情じわが中心でまぶたの重さが少ない方では、ボトックスが非常に合いやすいこともあります。
また、額の皮膚に浅い線が刻まれている方や、ボトックスを強く効かせたくない方では、ヒアルロン酸などを含めて、しわの種類に合わせた治療を検討していきます。
まとめ
額ボトックス、眉間ボトックスは、表情じわに対して効果を期待しやすい治療です。
一方で、まぶたが重くなりやすい方、眼瞼下垂ぎみの方、額の筋肉で目を開けている方では、ボトックスによってまぶたの重さが出ることがあります。
ボトックスでまぶたが重くなった場合、すぐに確実に戻す方法はありません。基本的には、効果が弱くなるのを待つ必要があります。
だからこそ、治療前に原因の見極めが大切です。
額のしわが気になる場合でも、表情じわなのか、皮膚に刻まれたしわなのか、まぶたの重さが関係しているのかで、適した治療は変わります。
ボトックスが合う方もいれば、少量ボトックスがよい方、ヒアルロン酸など別の方法を考えた方がよい方もいます。
大切なのは、シワの改善のみにフォーカスするのではなく、目元全体のバランスを見て治療を選ぶことです。
額のしわ治療で大切なのは、しわを消すことだけではなく、まぶたが重くならないように治療することです。
「額のしわは気になるけれど、目が重くなるのは怖い」「過去にボトックスで違和感があった」「自分にボトックスが合うのか分からない」という方は、まずは医師に相談することをおすすめします。
当院では、医師と看護師で、まぶたの状態、眉の位置、しわの種類を見たうえで、その方に合いやすい治療方法をご提案しています。必要に応じて、ヒアルロン酸などボトックス以外の選択肢も含めてご相談いただけます。是非、お気軽にご相談ください。













